珍しい名字「銭高(ぜにたか)」。工事現場でみたことがある人は多い?「銭形」との関係は?
珍しい名字:銭高(ぜにたか)
「銭高」という名字をみたことがあるでしょうか。旧字体を使用して「錢高」とも書きます。 極めて珍しい名字のため、実際に銭高さんに会ったことがあるという人は少ないと思いますが、工事現場で「錢高組」という会社名をみたことがある人は多いと思います。 錢高組は種子島の宇宙センター、瀬戸大橋の岩黒島・櫃石島高架橋など、日本各地で次々と巨大プロジェクトを作っている建設会社で、この錢高組という社名は創業者の名字に因んでいるのです。 「銭高」という名字の由来ははっきりしませんが、銭高組の創業家は、もともと和泉国日根郡尾崎村(現在の大阪府泉南郡岬町)で番匠屋という屋号を名乗って宮大工の棟梁をつとめていました。 明治維新後に東京で西洋建築を学んで帰郷、大正10年には大阪市庁舎を建設して、現在に至る基礎を築きました。 因みに、「銭形平次捕物控」の「銭形」という名前は、作者の野村胡堂がたまたま通りかかったビルの建設現場にあった「設計施工 錢高組」の看板を見て、いざというときに銭を投げる銭形平次のキャラクターを思いついたといいます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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