フリーランス新法で「建設業者」は「何を」すべき?「 義務付け7項目」など徹底解説
個人で働くフリーランスを保護するための法律「フリーランス新法」が、2024年11月から施行されました。これは、建設業界にも大きく関係してきます。たとえば、1人親方のように従業員を使用していない個人事業主や、他に役員・従業員がいない法人の社長(いわゆる1人社長)なども「フリーランス」に該当します。違反となれば事業者名を公表される可能性があり、今後の経営活動に多大な影響を受けます。そこで今回は、フリーランス新法によって建設業界がどのような影響を受けるのか解説していきます。記事途中には、フリーランス新法のポイントをまとめたExcelデータも用意しているので、ぜひご活用ください。 【詳細な図や写真】図1:フリーランス新法の適用範囲(出典:フリーランス新法に係るリーフレットより編集部作成)
そもそもフリーランス新法とは?
今回、登場するフリーランス新法、正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。この法律の目的は、「フリーランスと発注事業者との間の事業者間取引の適正化」と、「当該取引の下で業務を行うフリーランスの就業環境の整備」を図ることにあります。 仕事を発注する際、発注者側の交渉力などがどうしても強くなってしまうことが多くあります。そのため、フリーランス側が受託した業務に安定的に従事できる環境を整備する必要があるのです。そして、建設業界に多い1人親方や1人社長が、フリーランスに該当するので、建設業界にとってもかなり関係のある法律になります(図1)。 さらにこの法律は、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が資本金1,000万円超の発注事業者が対象になるのとは異なり、資本金1,000万円以下の発注事業者も含まれます。そのことから、たとえば小規模事業者がフリーランスに依頼する業務委託といった取引も対象になります。ただし、「一般の消費者」からの業務委託は本法の対象にはならず、また「売買」も対象になりません。
建設業者が注意すべきは「偽装1人親方」
建設業者が特に留意すべきなのは、「偽装1人親方」の存在です。偽装1人親方は、本来であれば発注事業者が「雇用」しなければならない人を「外注(業務委託等)」している場合を指します。なぜ、あえて雇用ではなく、外注にしているのでしょうか。 1ページ目を1分でまとめた動画 それは、建設業はそもそも仕事がコンスタントに入ってこないという特殊な事情があるからです。そのような状況の中で従業員を抱えていれば、毎月給与を支払わなければならず、固定費の支払いが大変になります。 外注にすることで、必要なときにだけ仕事をしてもらい、その分の報酬を支払えば良くなるので、固定費がかかることもありませんし、大幅な経費削減になります。また外注の場合、社会保険料等も1人親方自身が支払うため、発注者側からすれば一石二鳥というわけです。 ただ実態は多くの場合、雇用と同じように、指揮命令することを前提としています。そのため、労働者性を帯びる可能性が高くなることには注意です。たとえば労働基準監督署の監督などにより、労働者性が認められてしまえば、フリーランスではなく、従業員として考えなければなりません。 このような働き方を強いられている1人親方が一定数いらっしゃいます。そのため、建設業界としては、「フリーランス新法によってフリーランスが保護されるので現状のままで問題ない」と考えるのではなく、実態に即した適切な処遇を受けられるように考えるのが妥当ではないでしょうか。 では建設業者としてはどのようにして、フリーランス新法に対応すれば良いのでしょうか。