フリーランス新法で「建設業者」は「何を」すべき?「 義務付け7項目」など徹底解説
結局「何を」すれば良い? 3パターン・義務付け7項目を解説
フリーランス新法の主な内容は、下記の図2のとおりです。発注事業者がどのような事業者なのかによって、義務付けられる内容が異なりますので、建設業者が特に関係のあるポイントを抜粋して解説します。 ■フリーランスの発注事業者 たとえば、発注事業者が従業員を使用していない場合、いわゆるフリーランス(1人親方など)からフリーランス(1人親方など)へ業務を委託する場合については、図2の(1)「書面等による取引条件の明示」が義務付けとなります。具体的には、「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした日」「給付を受領/役務提供を受ける日」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を行う場合)検査完了日」「(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項」を明示しなければなりません。 こちらは、書面等となっておりますが、書面の様式は定められていないので、取引内容に応じて適切な書面を作成すれば問題ありません。また、電磁的方法でも構わないので、たとえばLINEのような方法でも明示さえすれば大丈夫です(図3)。 ■従業員を使用している発注事業者 従業員を使用している発注事業者は、図2の(1)に加えて、(2)「報酬支払期日の設定・期日内の支払」、(4)「募集情報の的確表示」、(6)「ハラスメント対策に係る体制整備」が義務付けとなります。 (2)では、建設工事が完了した日などから数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払わなければなりません。また(4)では、広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならず、内容を正確かつ最新のものに保たなければならないよう注意する必要があります。(6)では、ハラスメント禁止の方針の明確化や相談・苦情への対応、またハラスメントへの事後対応などを可能にする体制が求められます。 ■一定期間以上の業務を委託する場合 さらに従業員を使用している事業者が一定期間以上で行う業務を委託する場合については、従業員まではいかなくても、継続的に取引していることから、よりフリーランスの保護を強化することが求められます。そのため、先の図2において(1)~(7)のすべてが義務付けられます。 具体的に(3)「禁止行為」では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しが禁止となります。そのほか、(5)「育児介護等と業務の両立に対する配慮」や(7)「中途解除等の事前予告・理由開示」も必要になります。 特に建設業においては、建設工事が長くなることもあり、一定期間(具体的には(3)は1カ月、(5)(7)は6カ月)以上の業務委託は決して少なくありません。そのことからも、上記のような規制があることに気を付けなければなりません。