「日本はチームバスケです」…バスケ代表・吉井裕鷹(26歳)がアジア杯予選で語った胸中「コミュニケーションが大事」「話さないとチームがつながらない」
成長著しい吉井の3P成功率
ホーバスHCが選手たちに求める能力の一つが、フリーの状態でパスをキャッチし、素早く放つ3Pシュートである。今月の2試合、吉井は素晴らしい成功率を誇った。 ・モンゴル戦:50%(2/4) ・グアム戦:50%(4/8) 「そこはメチャクチャ意識して取り組んでいます。ただ、もっと上手く、もっと良くしていきたいなと思います」 そう話すものの、実はホーバス体制での吉井はどん底からスタートしている。昨年の沖縄W杯では、5試合で計5本の3Pシュートを放ったが、1本も決められなかった。 W杯では、最終的にチームとして目標としていた結果が出たから見過ごされているが、ホーバスHCが求めるバスケの生命線であるキャッチ&シュートの成功率が壊滅的だった。わずか27%で、参加した32カ国中29位だったのだ。地元開催でなければ、アジア最高位の成績を残すことはできなかったと言っても過言ではないだろう。 実は、こんな逸話がある。当時、練習のなかで吉井が放つ3Pがエアボール(※リングにさえ当たらずに外れてしまうシュート)になることがあった。現体制での日本代表は午前と午後の2回の練習を行なうことが多いのだが、午前中の練習で吉井が放った3Pシュートがエアボールになると、チームメイトはこう声をかけていたという。 「今日のエアボールはもう出た。午後の練習では大丈夫だぞ!」 そうやってイジられながら、ときに励まされながら、吉井はシュートを打ち続けた。 重要なのは、チームとしての結果が出たことに満足せず、吉井が現実から目を背けなかったことだ。自身の課題でもあり、チームとしての課題でもあるキャッチ&シュート。とりわけ、その形からの3Pを決めきらなければ高いレベルの相手と戦ったときには勝負にならない。 だから、吉井は黙々と練習を積んできた。今でも、試合前の練習などでその様子はうかがえる。今回のグアム戦でも、試合前に最後までコートに残ってシュート練習をしていたのが彼だった。 その成果は、出場国が12カ国と大幅にしぼられるため、相手の守備のレベルが格段に上がったパリ五輪でも出ていた。最終的に3連敗に終わってしまったあの大会で、河村勇輝と吉井の成長が高く評価されたのはあえて振り返るまでもないだろう。 さらに、五輪後の今シーズンは、Bリーグでも14試合で52.8%という驚異的な3P成功率を見せている。 3Pシュートの成功率ランキング入りの条件(※野球でいう規定打席に当たる条件)は、85%以上の試合に出場し、なおかつ、1試合平均1.5本以上成功すること。現在は1試合平均で1.4本の成功のため、あと少しでランク入りできる状態だ。この確率のままランク入りすれば、もちろん成功率は単独トップに君臨することになる。
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