「日本はチームバスケです」…バスケ代表・吉井裕鷹(26歳)がアジア杯予選で語った胸中「コミュニケーションが大事」「話さないとチームがつながらない」
「アメリカよりヨーロッパのバスケに近づないと」
そう自認する吉井は、現在の日本代表の候補選手たちの特長や顔ぶれを見た上で、取り組むべきスタイルについて、こう考えている。 「日本は、アメリカバスケというよりも、ヨーロッパのバスケに近づいていかないといけないと思うので。オリンピックでもアメリカが優勝しましたけど、(アメリカとセルビアによる準決勝は内容的には)セルビアの勝ちゲームでした。そもそも、(NBAの現役最強選手に挙げられるニコラ・)ヨキッチだけであんなバスケはできないと思っていて。やはり、チームバスケです。まぁ、(超人的な能力を持った選手の個人技を活かす)アメリカが、それをやり出してしまったら、それはもう……(お手上げですけど)」 これは吉井独自の考えではなく、現代表の進むべき方針として、多くの人が指摘していることだ。ホーバスHCも著書『スーパーチームをつくる! 』(日経BP)のなかで、こう書いている。 「アメリカは、より個人の能力が中心となっていて、バスケットボールの質は落ちていると感じます。日本の場合はヨーロッパのように、よりチームでプレーするところが強調されますから、そこには違いがあります」 そうした状況もわかった上での吉井の発言であることを見落してはいけない。 だから、今シーズンから新たに三遠ネオフェニックスに加入したことも、本人はポジティブに捉えている。三遠を指揮するのは、Bリーグで開幕から6シーズンにわたって千葉ジェッツを率い、Bリーグで指揮を執った指導者のなかでタイトル獲得数がダントツの名将・大野篤史HCだ。彼は、個人の力が勝負をわけることも多いNBAではなく、戦術的に練られたヨーロッパのバスケを参考にすることが多い。 実際、2020-21シーズンには旧ユーゴスラビアのスロベニア出身の指導者をアシスタントコーチに招き、ジェッツを念願のBリーグ初優勝に導いている。吉井も今後の楽しみを隠そうとはしない。 「大野さんはヨーロッパの監督寄りのバスケットをしていると思います。かなり、細かいですし。そこら辺で、試合に出ながら成長できているという自信もあります。もちろん、(成長を促してくれるのは)大野さんだけではなく、身の回りの人たち全部ですけどね」 もっとも、行動が伴っていなければ、その発言の説得力は欠いてしまう。では、実際はどうなのだろうか。 もともとはディフェンス能力の高さを買われて日本代表に定着した吉井だが、最近はオフェンス面でもめざましい成果を見せ始めているのだ。
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