一度は競技引退も…結婚→出産→ラグビー転向を経て陸上・寺田明日香(34歳)はなぜ「全盛期の自分」を超えられた?「支えてくれる家族がいたので」
女子100mハードルの第一人者・寺田明日香(34歳)。10代の頃から将来を嘱望されながら、23歳の若さで引退。結婚→出産→7人制ラグビーへの競技転向を経て、再びトラックに戻ってきた。復帰した2019年、6年間ものブランクをものともせずに日本記録(当時)を樹立。女性アスリートは出産したら“あがり”――そんな常識を覆せた背景とは。今後の進退についても明かした。《NumberWeb「アスリート結婚特集」全3回の3回目/最初から読む》 【写真】「えっ、何頭身なの…?」超小顔な“ママさんハードラー”寺田明日香(34歳)の長~い手足とバキバキの腹筋。ラグビー時代のムッキムキなフィジカルも…試合での迫力のハードル飛越&夫婦での私服インタビュー特撮も見る 「潔くラグビーでの“負け”を認めて引退する」 2018年12月、寺田はラグビー選手としての引退、そして陸上競技への復帰を宣言した。 2016年9月、寺田は東京五輪の出場を目指し、7人制ラグビーに挑戦。3年前に引退した陸上からの転向、そして一児の母であることが話題となった。12月には日本代表のトライアウトに合格し、練習生として合宿に合流することが決まる。 翌2017年春には公式戦に初出場し、持ち前の走力で初トライを決めた。 ところが5月、2回目の公式戦で選手と交錯した際に右足首腓骨を骨折。入院、手術に伴い戦線離脱し、約半年間のリハビリを余儀なくされたのだ。 「復帰したらまた代表合宿に呼んでもらえて、2018年5月には公式戦にも出場できたんです。でもそこから1軍と2軍を行き来するような状態が続きました。確かに自分は脚が速いし、ボールを持ったらトライまでつなげる確率も高かったんです。でもそれ以外の技術が足りていないので、このまま日本代表の強化メンバーに残るのは難しいんじゃないかと感じ始めたんですよね」 ちょうど東京五輪が2年後に迫り、選手たちをふるいにかけ、トップチームを作り出す時期。彼女をラグビーに誘った夫の佐藤峻一さんもまた、「現実」が見え始めていた。 「地方での試合に、お世話になっている方々を遠方から呼ぶこともあったのですが、最後の1分くらいしか出てこないんですよね。このためにわざわざ来てもらっているのかと思うと申し訳なさもあって。彼女は本気で東京五輪を目指していたし、僕も全力でサポートしていたものの『なかなか厳しいよな……』という気持ちが生まれていたのも事実です」 自信を持てないままラグビーを続けるのか、それとも潔く終止符を打つのか。悩んだ末、浮かんだのは「ふたたび走る」という選択肢だった。 「ラグビーをやっていて、やっぱり一番楽しかったのはボールを持って走ることだったんです。一度は嫌いになった“走る”をまた好きになれたなら、それを極めたほうがいいんじゃないかと考えるようになって。 当時お世話になっていた方にちょこちょこ相談してみたら『いいじゃん、やりたいことやったほうがいいよ』って後押ししてくれて。あ、意外にみんなポジティブに考えてくれるんだと思ったら、すごく気持ちが軽くなったんですよね」
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