【坂口正大元調教師のG1解説】レモンポップ逃げ切り連覇、ハナ取り切れたことが1つの勝因
<坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼> <チャンピオンズC>◇1日=中京◇G1◇ダート1800メートル◇3歳上◇出走16頭 1、2、3着馬が昨年とまったく同じでも、中身はもちろん違いました。連覇を果たしたレモンポップの1000メートル通過は60秒8、1年前が60秒9ですから、ペースはほぼ同じミドルでした。ですが、大外枠から自分のリズムで逃げた昨年とは違い、今年はミトノオーがハナを競るか、という勢いで外からきました。それだけマークが厳しくなっていた証拠でしょう。 そこで効いたのは1枠2番という内枠です。中京のコーナーは若干きついため、たった1頭分でも外からハナに行くにはかなり脚を使います。そのためミトノオーが無理をしなかったこともあり、うまくハナを取り切れたことがレモンポップの1つの勝因です。 加えて、状態面も良好に見えました。5歳から6歳の1年は、状態が維持できればいいという1年です。昨年の勝ちタイムが1分50秒6で、今年は1分50秒1。昨年と同じだけの状態をキープした陣営の手腕にも拍手です。 何より、鞍上の坂井騎手は相当なプレッシャーだったと想像します。連覇がかかる一戦がラストラン。しかも、レース後に引退式が予定されていました。しかし、馬には余計なことを感じさせず、スムーズにハナへ導き、見事な逃げ切りでした。自身はこの1年間でサウジ、ドバイに行き、米国でケンタッキーダービー、BCに騎乗し、フランスでは凱旋門賞にも挑戦しました。すばらしい経験を積み、また腕を上げたことを今回でも証明しました。 2着ウィルソンテソーロは昨年と同様に、今年もすごい末脚でした。最後は鼻差だけに、本当に悔しいでしょう。ただ、めきめきと力をつけていますし、同じ冠名のウシュバテソーロに続く活躍を期待します。 3着ドゥラエレーデは2番手追走だった昨年とはまったく違う、中団のポジションから内をつきました。さすがムーア騎手というレースでしたし、今後の可能性が広がる内容でした。(JRA元調教師)