「バイクなくして今の人生はない」映像クリエイター マチルダさんのバイクライフ
形に残す大切さに気づいた、不幸な事故
バイク乗りになって1年がすぎた頃には、マン島TTレースをリスペクトした、フルカウルGB250が完成。一緒に走り回って、作り上げたスタイルに見惚れる日々を過ごす中、突然の不幸が襲いかかりました。 脇見運転をしながら急右折してきた乗用車と衝突。目が覚めたら、自分は病院のベットの上でした。95:5で相手の過失の事故でしたが、複数箇所の骨折と脾臓の破裂、そして何より大切にカスタムしたGB250は見るも耐えない姿へと変わり果てていました。 自分にとって唯一無二、世界でたったひとつだけの愛車は突然廃車となり、残ったものはたった数枚の写真のみ。この時、しっかりと形に残しておけば良かったと、とても後悔したことを今でも鮮明に覚えています。 この経験が、バイクや車の映像を作成する、現在の活動のキッカケとなったのです。
バイクと映像制作を通じて得た人生の転機
少しでも思い出を残そうと、次の愛車GB500TTを題材に映像制作を開始。最初は1眼レフなどの機材も何もなくて、撮影はiPhoneのみでした。MV風に編集してみたり、友人達とのツーリングをVlog風に編集してみたりと、最初は自分や仲間内で楽しむぐらいの活動から始めました。 そんな中、たまたまコンビニでエンカウントしたことをキッカケに仲良くなった、1人のバイク乗りとの出会いが転機となりました。それが同い年で、カワサキZXR250とゼファー750に乗る、かわさき しゃけ君。今では、毎晩バイクで走りに行くほど、親しい友人になりました。 彼も撮影に興味があったようで、互いに互いを引っ張る形でミラーレスカメラとジンバルを購入することになったのです。知り合いの協力の元、カワサキW650を題材にした映像を一緒に制作して、YouTubeで公開したところ、まさかのタイで大バズり(笑)。 その反響を受ける形で、さまざまなオーナーが持つバイクや車の魅力を、自分たちのセンスで映像作品化して発信する活動を主とする、YouTubeチャンネル兼アートチーム「GarageFilm」を2人で本格始動することにしたのです。 入院やコロナ禍など、辛い時期や紆余曲折もありましたが、活動開始から4年、今や私は一端の映像クリエイター兼空間デザイナーとして、しゃけくんはプロのスチールカメラマンとして活動できるようになりました。 人生とは不思議なものですね。バイクに乗り始めなければ、事故に巻き込まれなければ、映像制作を始めなければ…ひとつでも違えば、今自分を取り巻いている環境や、関わってくれている人たちに出会えなかったと思います。 周囲からはバイクは危ないと言われることも多いですし、実際に危ないということを身をもって経験していますが、バイクがあったからこそ、充実した生活を送れていると思っています。まさにバイクあっての人生って感じです。
────────── ●文:マチルダ/映像クリエイター(ヤングマシン編集部) ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ヤングマシン編集部