１９９０年Ｗ杯、オーストリア戦に出場したイタリア代表のスキラッチさん（ＡＰ）

　サッカーの１９９０年イタリアＷ杯得点王で、Ｊ１磐田でもプレーした元イタリア代表ＦＷのサルヴァトーレ・スキラッチ氏が死去した。５９歳だった。かつて所属したイタリア１部ユベントスなどが１８日、発表した。 　イタリア公共放送「Ｒａｉ」など複数メディアによると、スキラッチ氏は数年前に大腸がんと診断され、闘病生活を送っていた。今月初めにパレルモ市内の病院に入院、重篤な状態が続いていた中で、５９歳の若さで逝去した。 　ユベントスは悲報に接し「彼の素晴らしく情熱的な性格は、彼がプレーするすべての試合に表れていた」と追悼。磐田は「その人間味あふれる温かい人柄と情熱は、今なお多くの人々に敬愛されています」と声明を出した。イタリア連盟は、１８日から今週末までの試合で黙とうを行うと発表した。 　現役時代に「トト」の愛称で親しまれたスキラッチ氏はメッシーナ、ユベントス、インテルと母国クラブで活躍。開幕前まで代表出場１試合だった９０年イタリアＷ杯ではサブ扱いから先発を奪い大会得点王（６点）と最優秀選手に輝き、母国を３位に導いた。９４年にＪ１磐田に移籍し、中山雅史、名波浩、ドゥンガらとチームをけん引。９７年まで４年間で、Ｊ１通算７８試合５６得点と活躍した。 　９９年の引退後は故郷パレルモでサッカースクールを運営し、タレントや解説者としても活躍。慈善活動に積極的に取り組み、１６年には群馬県で行われた慈善試合で１得点を挙げ、日本のファンを沸かせていた。 　◆サルヴァトーレ・スキラッチ　１９６４年１２月１日、イタリア・パレルモ出身。８２年にイタリアのメッシーナでプロデビューし、同１部のユベントス、インテルなどでプレー。母国開催となった９０年イタリアＷ杯で６得点で大会得点王と最優秀選手賞獲得。９４年にＪ１磐田に加入し、９７年途中で退団後、現役を引退。地元パレルモでサッカースクールを開設した。Ｊ１通算７８試合５６得点。右利き。 　Ｊ３沼津・中山雅史監督（磐田時代にスキラッチ氏と２トップでプレー）「相棒の早すぎる旅立ちに悔しさしかありません。強面（こわもて）のトトの表情に恐怖を感じていた方も多いかもしれません。ただ私には、メチャクチャ優しすぎる瞳の印象しかありません。ストライカーとしての気持ちの持ち方、ゴールに向かう姿勢、それはしっかりと今でも心に刻まれています。僕の財産として輝いています」 　藤田俊哉氏（現・磐田スポーツダイレクター）「こんなに早く天国に行ってしまい悲しい。日本に来た外国人選手の中であれだけ得点感覚に優れた選手はいなかったと言っていいくらいトップクラスのストライカー。Ｗ杯の得点王は違うなって思いました」