正しく使えば「発がん性物質」を9割以上除去できる…PFAS研究者が伝授「キレイな水を出す浄水器」の見極め方
また厚生労働省が国内に流通するミネラルウォーターなどを検査した結果も公表されました。多くの製品では検出されませんでしたが、ある会社のミネラルウォーターから水道水の暫定目標値を超える濃度で検出されたということがわかりました。また目標値以下でも検出されたものもありました。 この発表の後に、検査を実施したことを公表したメーカーが多く出ました。しかし、暫定目標値を下回ったということだけの発表で、具体的に検出されたかどうかまで具体的な情報はほとんどありませんでした。 ■浄水器で9割以上除去できる 浄水器の設置は個人の取れる対策の一つです。水に含まれる有機物を除去する活性炭が新しい状態であれば、9割以上のPFAS(特にPFOSやPFOA)を取り除くことができると言われています。個人でできる、かなり効果的なPFAS対策でしょう。 私が沖縄や東京・多摩地域で血液中のPFASを測る調査をしたときも、浄水器を使っている方は、使っていない方に比べて平均的に血液中のPFAS濃度が低く検出されました。浄水器が一定程度、有効なことを物語っています。 浄水器を使うことは個人の対策としてありえますが、市販の浄水器はいろいろあり、中には十数万円もする高いものもあります。 ただ高ければいいというものではなく、安価なものでもある程度効果は期待できます。 ■見極めのポイントは「水の勢い」 ただし、カートリッジ(フィルター)に水をしっかり通している浄水器かどうかは確認してください。安価なタイプでは、活性炭が入っていても水がほとんど素通りしてしまうものがあるので気をつけてください。 浄水器をつけずに流したときの水の勢いと、浄水器をつけたときの水の勢いを比べてみて、ゆっくり流れてくるようだったらカートリッジをしっかり通り、水をろ過している証拠です。 切り替え式タイプなら、浄水器使用のモードにすれば、水の流れが遅くなることがわかります。 浄水器のろ過材には活性炭のほかに、中空糸膜(中が空洞になっている糸状の膜)や不織布を使ったものがあります。活性炭は有効です。イオン交換樹脂というタイプもありますが、こちらはPFASを対象としたもの(陰イオン交換樹脂)でないと効果がありません。 ちなみに、浄水器と似たようなもので軟水器というものも売られています。こちらは水の硬度の高い地域でよく利用されている、陽イオン交換樹脂でできているものですが、カルシウムなどは取れるものの、PFASは取れません。 水中に溶け込んだ不純物と透過水を分離させる逆浸透膜浄水器というものが、一番性能がよく、しっかりと除去してくれますが、工場などで使われるものが多く、残念ながら家庭用で取り扱っているところはほとんどありませんし、高額です。