いま知っておきたい「燃料デブリ」のアレコレ 原発事故から13年8カ月で取り出しに成功 2024年は廃炉に向け大きなステップ
2号機以外のデブリは?
2011年の事故で1号機と3号機は水素爆発を起こした一方、2号機は原子炉建屋の側面パネルが1号機の水素爆発の衝撃で開いたことで爆発を回避した。東京電力は「現場の放射線量が比較的低く、早期に原子炉格納容器内部にアクセス可能」などの状況から、まずは2号機での試験的取り出しに着手することを決定した。 1号機は水素爆発によりガレキが飛散している状態であるため、原子炉建屋全体を覆う大型カバーを設置し、まずはその中でガレキ撤去を行う計画が進行中。燃料デブリへの接触に向けては、格納容器の内部調査を実施している段階で、2024年2月から3月にかけて、格納容器内部にドローンを入れて調査を行い、初めて「気中で」「デブリとみられるもの」を確認したという状況。今後も内部調査を行い、デブリへの接触方法を検討する。 3号機では、燃料デブリの「大規模取り出し」が計画されている。気中で水をかけながら取り出す方法や、建屋を水で満たしてから取り出す方法などが検討されていたが、廃炉作業への助言を行う「原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)」は「原子炉内のデブリの一部をセメントのような充填剤で固め、気中で取り出す」という方法の採用を決定していた。この決定をもとに、東京電力が具体的なスケジュールや予算規模などの検討を行っているところで、東京電力はNDFからの聞き取りに対し「2025年度半ばまでに検討を完了したい」としているという。NDFも進捗の確認や必要に応じた助言などのフォローアップを行うとしている。
今後の廃炉はどうなるの?
東京電力は今後の燃料デブリの取り出しについて、今回の試験的取り出しに成功した「釣り竿型ロボット」ではなく、より大型の「ロボットアーム」という装置を用いて2号機での試験的取り出しを「早ければ2024年度中にも着手」方針を示している。この「アーム」は現状の「釣り竿型」よりも操作性が高く、デブリを取り出す範囲が広がる可能性が期待できる一方、現状の装置を取り外して新しくアームを設置しなければならなかったり、ロボット自体が大きいために引っかかったり経路の途中で詰まったりという懸念もある。原子力規制委員会は「釣り竿型」での取り出し継続を提案していて、東京電力は「釣り竿型ロボットでの採取を継続する可能性もある」としているところ。 国と東京電力は福島第一原発について「2051年までの廃炉完了」を掲げている。「燃料プールの燃料取り出し開始まで」の「第1期」と「燃料デブリ取り出し開始まで」の「第2期」が完了し、当初の計画よりも約3年遅れて廃炉は最終段階の「第3期」に入った。2051年までに廃炉を完了させる道筋を描いているが、過酷事故を起こした1~3号機それぞれが「どうなったら廃炉完了なのか」の姿は示されていない。むしろ「2011年に描けていた“第3期に到達する道のり”は完了したが、この先は“未知”のまま事故当時から変わっていない」ともいえる。 燃料デブリの「カケラ」を取り出したいま、地元が、住民たちが、この地域の将来の姿を想像するためにも、廃炉に向かう工程と、廃炉の最終形を示すことは必要不可欠である。 (福島テレビ)
福島テレビ