中日・大野雄大、『侍・吉見コーチ』『今中さん』超えで今年こそ恩返し 「『まだできるやんけ』と言ってもらえるように」
中日の大野雄大投手(36)が5日、毎年恒例の京都・大文字山での自主トレを公開した。昨季2勝に終わった左腕は2025年を野球人生の分岐点と位置付け、あと4勝で並ぶ通算90勝の侍ジャパンの吉見一起投手コーチ(40)、同91勝の今中慎二さん(53)超えを最低ノルマに設定。今年の干支(えと)にあたるヘビは「復活」と「再生」の象徴。2人の師を超えて、復肩の一年にする。 眼下に広がる古都の街並みを見つめながら、大野は新たな一年へ思いをはせた。京都外大西高1年時から続ける大文字登山も21年目。「プロ入り後は15年もできるとは思ってなかった。周りからは『1年でも長く』と言われるし、僕もそのつもり。この先をやり続けるために、今年は結果を残さないといけない」と口元を引き締めた。 大事な年になる。左肘手術からの復活を目指した昨季は、556日ぶりの白星を挙げたが、勝ち星は2勝止まり。防御率も4・87と振るわなかった。「自分の球を投げられたのは数試合だけ。ただ、納得いく球を継続的に投げられれば、勝ちも増えると思う」。まだ勝負できる。その自信はある。 当面の目標も定めた。通算86勝の左腕が「本当はもっと早く超えないといけなかった。今年は超えないといけない。それが恩返しになる」と名を挙げたのが、2人の師。同90勝の吉見コーチと同91勝の今中さんだ。 2人は特別な存在だ。まずはあと4勝で並ぶ吉見コーチ。ルーキーだった2011年オフ。同年1試合のみの登板だった大野を自主トレに誘ってくれた。ドラゴンズ黄金期のエースからは技術だけでなく、野球選手としての振る舞いも教えてもらった。今季の大野が臨む15年目は吉見コーチが現役を退いた年だ。 そして5勝を挙げれば初めて2桁勝利を挙げた13年に選手と投手コーチの関係だった今中さんに並ぶ。「今中さんには『自分の球が投げられへんなら辞めろ』と言われそう。僕もそう思う。なので早く超えて『まだできるやんけ』と言ってもらえるように」と続けた。 先発ローテが約束されているわけではない。目標を達成するには、まず居場所を確保しなければならない。昨年11月には異例のブルペン入り。「肩肘を休めないことを第一にやってきました。(1月中旬から)沖縄へ行きます。すぐに捕手に座ってもらう準備はしてきた」と、過去一の”超速仕上げ”でキャンプインする心積もりだ。 山頂では「うねるような感じがポイント」と今年の干支にちなんだヘビのポーズも披露した。脱皮を繰り返すヘビは「復活」と「再生」の象徴。マウンドに仁王立ちし、大野ここにありを示す。 ◆同世代が巨人入り、投げ合い熱望 共に球界を引っ張ってきた同世代の巨人入りが、左腕の対抗心に火をつけている。楽天を自由契約となり、今季は巨人でプレーする田中将大投手(36)に対し、大野は「投げ合いたいですよね。1回、2回とかじゃなく何回も」と投げ合いを熱望した。 同じ1988年生まれ。ファーストコンタクトは2005年夏の甲子園決勝。優勝投手となった駒大苫小牧高・田中を京都外大西高・大野はベンチから見つめていた。田中は高校からプロ入りし、巨人・坂本、米大リーグ・タイガースの前田らとそろって活躍。大野は「88年世代の名前を売ってくれたスター。リスペクトしかない」と話す。
中日スポーツ