柳井社長が語るファストリの現在と未来 2人の息子の役割や対「シーイン」にも言及
ーー中国について。不動産危機もあり、消費がスローダウンしている。長期的な影響は?
柳井:まず思い出してもらいたいのは、中国は(人口が)14億人にいるってことですよね。14億人。それともう1つ思い出してもらいたいのは、アジアと中国は地続きで、しかもアジアで活躍してるのは、オーバーシーズ・チャイニーズ(越境中国人)ですよね。そういうことを思い出してもらえれば、確かに不動産のスローダウンというかクライシスがあると思うんですけど、でも14億人の人が何か問題が起きて路頭に迷う(ことになれば)、世界にとって大変なことになる。これ、今の米中対立どころじゃないじゃないっていうことですよね。しかも、隣国がロシア、北朝鮮ということから考えれば、それこそ中国が安定してないとまずいんじゃないかなっていう風に思いますし、やっぱり世界平和(が大切だ)。われわれ、「PEACE FOR ALL(ピース・フォー・オール)」という取り組みをしている。世界平和が一番大事。っていうことなんじゃないかなっていう風に僕は考えてますけど。
ーー情報製造小売業について、さらにその進化を掲げているが、できた点、足りなかった点はどこで、今後さらにどのような取り組みが必要か?どの産業でもますます情報化が浸透していく中で、どういう形を目指していくのか。
柳井:まずこれ、よく聞かれる質問なんですけどね。自分の姿は自分で見えないでしょ。あなたが判断したことの方が正確なんじゃないかなっていう風に思います。それと、これは捉え方によると思うんですよ。われわれの会社だけじゃないし、あらゆる産業にとって、世界が開かれて、しかも日本っていう立地にあるわけですよ。日本のパスポートほどいいパスポートはないですよ。どの国でも事業ができる。それと、日本の歴史、日本の文化がありますよね。その一番大事なものをなんで利用しないのか。それが僕は一番大事なことなんじゃないかなと思いますし、日本の強み、弱い点もあると思うんですよ。それを現実的に把握して、自分は何者か、あるいは自社は何者かっていうことを もっと把握して努力したらもっといい結果が出ると思う。その中でこれはどうかなって思うんですけど、 同調圧力がすごい強いでしょ。だから、そういう風なものがないように。まあ、僕みたいにちょっと言いたいことばっかり言っているというのもちょっと困りもんですけどね(笑)。「あなた何考えているの?」っていうことをもっと表明しないと、日本人は個人として認識されないんじゃないかなっていう風に思う。それと、チームプレーじゃなしに同調圧力なんでね。やっぱり日本人同士、慣れ合いみたいなことを廃止しないと、外国人と一緒に仕事できないんじゃないかなと思うんで。その辺りのことをよく考えてやっていけばいいんじゃないかなっていう風に思いますけど。