柳井社長が語るファストリの現在と未来 2人の息子の役割や対「シーイン」にも言及
冒頭お話したように、グローバルな市場では国の垣根や業界の際が消え、企業の真の力が問われる時代になりました。商売とは当たり前のことの繰り返しです。目先の利益に惑わされることなく、お客さまにとって最高の商品、最高のサービスを実現する。そのために必要な、当たり前のことをひたすら真面目に実行する。日々の仕事をきちっと振り返る。足りないところは即座に改めて再挑戦する。常に高い成果を出し、会社の収益も社員の報酬も着実に上げていく。最終的にお客さまに選ばれ、生き続けることができるのは、そういう企業だけです。
「目先の利益追求とは一線を画す」
私たちは決して特殊な才能を持つ人間の集団ではありません。しかし、過去 40 年当たり前のことを愚直にやってきたので成長できました。大切なことは常に自分自身が高い基準を維持することです。お客さまの視点には立てば、仕事には100点と0点しかありません。
自分の求める基準が低ければ、お客さまや社会の視点を忘れ、自分都合の仕事に陥ってしまいます。常にこの仕事は何のためにあるのか?お客さまの役に立っているのか?そのような視点を忘れずに、常に完璧を目指します。そのような企業姿勢を今後も継続していきます。
近年、デジタル技術の進化で、その傾向が加速されています。多くの企業がさまざまな領域で目先の利益のみを追い求める投機的な行為に走っています。
私たちファーストリテイリングは、そうした動きと一線を画し、これまで長期間にわたり、事業そのものの価値を高める経営に専念してきました。そのためにパートナー企業と力を合わせ、事業を全てをエンド・トゥー・エンドで自らが責任を持ってやり通す。そのような経緯をより徹底します。
近年の急速な技術革新によって、企業同士がグローバルな規模で綿密なパートナーシップを結び、一緒に成長し、お互いに利益を得られる関係がより強力に実現できるようになりました。これは私たちには大きな追い風です。企業として利益追求は当然のことですが、そのために社会のあらゆる方面で共存共栄の関係を作り出し、事業拡大と社会に対する貢献がイコールになる。そういう会社にする。常に高い志を忘れず、同時に事業経営で高い利益を上げて、サステナビリティ活動を継続する。そのような考え方が非常に重要です。加えて、私たちは個々の店舗が主体となる経営なので、地域への貢献が不可欠です。地域の人と協業して共に栄える。これまでもそういう姿勢を重視して、地域の企業や個人と共存共栄を掲げ一緒にやってきました。今後も引き続き、より社員の士気を高め、地域の皆さんとともに成長していきます。