柳井社長が語るファストリの現在と未来 2人の息子の役割や対「シーイン」にも言及
現在、私の時間の大部分は継承者の育成に費やしています。経営の継承とは、私自身が実践してきたことを各人が自分の力で実践できるようにすることです。物事の本質、最も大切なポイントがずれることがないように、座学でなく、現場の仕事、実務を通じて経営の原理原則と判断基準を教え、間違っている場合には、ここがこのように違うと具体的に伝えて、その仕事が成功するように持っていく。そのようなことを日々現場で実行しています。
また、柳井一海と柳井康治には、単に柳井ファミリーの継承者でなく、企業のガバナンスの部分をしっかりと担ってもらいたいと思います。企業経営全般において、売上収益の達成にとどまらず、常に真に正しい経営を行い、良い企業として社会に役立つ存在になるために様々なことを発言してほしいと考えています。公開企業でありつつもしっかりした創業家が存在し、ファミリー企業の良さを併せ持ち、双方の良いところを発揮できるようなバランスの取れた経営を行いたいと考えています。
さらに、次の世代として能力、知見ともに優れた人材が各国、各部門に多くいます。今期からはそうした経営者人材の具体的な発掘と雇用をさらに加速します。現在、執行役員、各国の経営陣が責任を持って育成に関わる体制を構築しているところです。
世界各地でそれぞれの経営執行チームを作る一方、GHQ(グローバルヘッドクオーター)の経営執行チームは本部から遠隔で関与するものではなく、直接現地に行って現場・現物・現実に基づき、自ら課題を発見し、現地の経営陣と社員を巻き込んで、ともに解決する。そういう体制に全社を作り変えていきます。そのためには長時間労働、人海戦術は通用しません。もっと仕事の基準を上げ、少数精鋭を徹底します。すべてをお客さまの基準で判断し、自分の頭で考えて行動する、自立した判断力を持つ個人が最先端のデジタル技術を駆使し、あらゆるソフトやハード、デバイスを活用して、少数精鋭で国を超えたチームで連携する。このような体制に変えていきます。