柳井社長が語るファストリの現在と未来 2人の息子の役割や対「シーイン」にも言及
「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」を手掛けるファーストリテイリングは2024年8月期、売上高3兆円達成を果たした。柳井正 会長兼社長は10月10日開催の決算説明会に登壇し、現状認識と成長に向けた考え方、企業の存続意義、後継者や2人の息子の関わり方、さらには、「ジーユー」の成長スピードへの期待や、「シーイン(SHEIN)」や「TEMU」への警鐘などを語った。質疑応答の柳井会長発言パートを含め、会見のほぼ全文をレポートする。 【画像】柳井社長が語るファストリの現在と未来 2人の息子の役割や対「シーイン」にも言及
柳井正ファーストリテイリング会長兼社長(以下、柳井):ファーストリテイリングが今後どのような考え方で経営していくのかをお話したいと思います。
世界中の個人がスマートフォンを手に、自らダイレクトに情報を発信・受信する時代になりました。あらゆる情報が公開され、いつでも誰でもアクセスできる。世界のすべての場所でそのような変化が起こっています。
そこでは、誰が信頼できる情報を発信しているのか。誰が信頼できる商品やサービスを提供しているのか。個人も企業も社会性が問われます。売り手の都合、企業の都合、国家の都合といった、自分の理屈を押し付けようとしてももはや通じません。社会の役に立つ企業であることがますます重要になってきます。いまや世界の市場は一つになり、企業間、人材間の競争は世界が舞台です。かつて一国の枠組みの中で考えていた経営が、完全に世界市場が前提になります。このことは、私たちファーストリテイリングにとって大きなチャンスです。
私たちは2001年のロンドン進出以来、数々の失敗を繰り返しつつも、その経験に一つひとつ学び、ようやくグローバルプレーヤーとしての基本を身につけつつあります。現時点では真のグローバルブランドを目指す競争にやっと出場資格を得た段階に過ぎませんが、今からもっと力をつけ、世界に出ていきます。世界が大きく変化し、会社も人も出来上がりつつある今こそ、次の成長への絶好のタイミングであると考えています。