セクハラヤジの「マタハラ」だけではない 日本社会に氾濫するハラスメント
増大するセクハラ、パワハラに続く深刻な現象
深刻な社会問題となっているセクハラ(セクシャルハラスメント)、パワハラ(パワーハラスメント)に続き、最近、マタハラ、アルハラ、モラハラ、アカハラという言葉を、よく耳にするようになった。 7月4日の内閣の閣議後の記者会見で、森雅子・少子化担当相は、4月17日の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合議員が「(まず自分が)早く結婚して子供を産まないと駄目だぞ」という「セクハラヤジ」を浴びた問題に関して、「マタハラ、妊娠、出産する女性に対するハラスメントだ。女性の立場として断じて許されない」と厳しく批判した。 ハラスメントとはharassmentの訳語で、「相手を苦しめること」「相手を悩ませること」「相手に迷惑をかけること」という意味。簡潔に、「いじめ」「嫌がらせ」と呼ばれることが多い。 それは「人の尊厳や人格を傷つけ、不利益や脅威を与える言動」であり、「言葉や態度による迷惑行為」であり、「相手を他の人から除外すること」であり、「人権侵害」であり、「差別」である。現代社会において、特に職場、学校、地域、家庭で、さまざまなハラスメントの行為が為され、その加害者と被害者が生まれて、大きな問題になっているのだ。 以下のように、千差万別のハラスメントがあるが、日本特有のハラスメントが圧倒的に多く、意外なことに、パワハラ(パワーハラスメント)にしても日本の造語であって、セクシャルハラスメントが世界で大きな問題になってから日本で生まれたカタカナ英語である。
うんざりするほど多種のハラスメントがある
マタハラとは「マタニティハラスメント」のことで、「働いている女性が、妊娠や出産に際して、職場で嫌がらせ、いじめ、苦痛や、不当な扱いを受けること」を意味する。英語でmaternity harassmentとなるが、これも日本の造語である。 ・妊娠を会社に報告したら、会社が退職を勧奨したり、退職に誘導するため嫌がらせをしたり、解雇や、契約打ち切りをする。 ・妊娠中や産休明けだというのに、残業や重労働を強制する。 などが、その典型的な例である。 アルハラは「アルコールハラスメント」のこと。アルコール飲料をめぐる迷惑行為のことであって、一気飲み強要などが、その例。アルハラによる急性中毒で死者が出るといった事件が少なくないため、社会問題化し、その防止のための活動が行われている。 アカハラは「アカデミック・ハラスメント」のこと。教育や研究の場で行われる、権力を用いた嫌がらせや迷惑行為。 キャンパスハラスメントは、大学、大学院などで起きるさまざまないじめや嫌がらせのこと。 スクハラは「スクールハラスメント」のことで、学校で起きるさまざまないじめや嫌がらせのこと。学校の教職員による児童生徒に対するものだけでなく、生徒同士、教職員同士の場合もある。