看護師から“電気工事会社の社長”に転身した女性。力不足を痛感するも「コミュ力活かして」
動画の撮影で意外な才能が開花「ほぼアドリブで演技ができる」
TikTokの撮影は月に一度、12本の動画をまとめ撮りするために時間を設けているとのことだが、基本的な台本やテーマの設定はありつつも、佐藤さん自身はほとんどが“ほぼアドリブ”で臨んでいるという。 「その場のノリというか。『演技力がいいね』とか『キャラ作りがうまい』とよくコメントをもらうのですが、今まで何か芸能活動をしていたとか、特に演技力を付ける特訓とかはしてなくて。自分のSNSアカウントもほとんど更新してませんでした」 彼女の純粋に動画撮影や配信を楽しめる性格が合っていたのかもしれない。 社長として表に立って発信することに全く抵抗感がない一方で、「可愛い子ぶることがすごく苦手なんですよ(笑)。逆にぶっ飛んだ企画の方がやりやすいですね」と話す。 電気工事会社でTikTokに取り組む会社は少なく、「建設社長のあやか」としてコンスタントに動画を投稿していくうちにフォロワーが増えていき、同業や電気工事士に興味のある人の目に留まるようになった。 「職人さんからも現場で『社長の動画見たよ』と声をかけてもらったり、取引先から営業の方にも連絡があったりと、社内の評判も好意的なので、SNSに取り組んでよかったなと思っています」
SNS経由だからこそ“安易”な応募も。バックれ、ドタキャン…
このような取り組みが実を結び、SNS経由で多くの求人応募が来るようになったのだ。 「今まで200件以上の面接を行い、13名の採用が決まりました。そのうち、今も当社で働いてくれている職人さんは5名いて、2人が若手の女性なんですよ。やはり、“男性社会”のイメージが残る業界ですが、彼女たちはやる気と向上心が強くて。うちは実力次第で、年齢関係なく成果に応じた給与を決めているのもあり、そうした社風とうまくフィットする人材が集まるようになりました」 当初の狙い通り人材採用に成功した一方で、いくつかの課題もあると佐藤さんは続ける。 「SNS経由だからこそ“安易”に応募してくる方も多く、バイト感覚のような軽い気持ちで考えていたり、当日にドタキャンされたりするのが悩みの種ですね。地方からの応募者には半年以上の勤務を条件に引越し費用を負担しますが、求めるのはやはり“本気の人材”ですので、SNSによる採用活動の難しさを感じていますね」