看護師から“電気工事会社の社長”に転身した女性。力不足を痛感するも「コミュ力活かして」
電気工事会社の社長に転身「覚えることがたくさんありすぎて…」
事務職として働くなかで、今まで力仕事の印象が強かった電気工事士のイメージが変わっていったという。 もちろん体力が求められる場面もあるものの、電気設備の設置や配線作業は非常に繊細な手先を要する。佐藤さんの職場は男性がほとんどだったが、「女性でも電気工事士として働けるのではないか」と考えるようになったそうだ。 そんな折、知人から「電気工事会社の社長をやってみないか?」と声をかけられたのがきっかけで、2023年4月にレナトゥスを創業。脳神経外科の看護師から電気工事会社の社長へ大胆な転身を果たしたのだ。しかし、はじめは社長業に慣れるのに相当苦労したと佐藤さんは語る。 「いざ社長として会社に入ると、覚えることがたくさんあって大変でした。私は一度も現場へ出たことがなく、普段交わす挨拶も『ご安全に』という独特な言い方をするなんて、想像もできない未知の世界でした。 そうした業界用語はもちろん、経営のことも全然わからない状態で、最初は本当に自分の力不足を痛感して悔しかったのを覚えています」
職人不足の状況を打破するために
それでも、看護師で学んだコミュニケーションスキルのほか、持ち前の明るさとメンタルの強さで乗り越えていったそう。 「私は人とのコミュニケーションが好きなタイプなので、職人さんとの会話や取引先の元請け業者とのやりとりに対する不安はありませんでした。電気工事のこと、社長業のことなど、詳しい人からアドバイスをもらいながら、社長業を全うできるようにがんばりましたね」 会社を成長させていく上で、鍵になるのが“人材採用”だった。電気工事業界はIOT化や5Gの影響で需要(仕事)が多くなっているが、それに対して供給(人手)が足りていない状況になっている。 つまり、職人の確保ができなければ、需要に応えることができずに、会社をスケールさせることが難しいと言えるのだ。 「当社でも、人材確保のために求人広告に100~200万ほどかけたのですが、職人さんは全く採用できずに悩んでいました。そんな時に、弟から『SNSを採用に使ったらいいよ』と言われ、TikTokに興味を持ちました。 実は弟も介護の会社を経営していて、SNS経由で人材採用に成功しているのを聞いていたんです。『これはやってみるしかない』と思って、2023年のクリスマスからTikTokのショート動画を始めました」