受験前にいきなり閉鎖!すでに授業料「100万円以上」支払った生徒もいたのに…老舗予備校「ニチガク」にみえていた「破滅の兆候」
800万円以上支払った生徒も
代理人によると生徒数の減少が影響し、資金繰りが限界に達したというが、前出の森川さんには別の心当たりもあった。 「数年前に校舎の一部を修繕したことがあったんです。その設備投資に相当な資金を使ったのではないか、とみています。こうした投資は利益が出ていなくとも、損失も出していない経済状況のときに行うものだと思うんです。でも、ニチガクはそこで無茶をしてしまい、結果として資金繰りが悪化した、と考えています」 ニチガクの校舎は築年数が経ち、かねて講師や生徒たちから老朽化が指摘されていた。 「教室の壁はパーティションで仕切られているだけ。隣の教室の先生の声が聞こえることが多く、生徒から『うるさくて集中できない』とのクレームは頻繁にありました。学習環境はあまり良いとは言えませんでした」(ニチガクで働く講師) 2年前の修繕では、パーティションを取り除いて1階に大きな教室を作り、自習室に医学部コースに通う生徒向けの専用学習机も20個ほど新調していたという。 一方で、運営の問題も指摘されている。 「実は千葉県や神奈川県でも系列の予備校を運営していました。資金難のため、昨年までに相次いで閉鎖されています。船橋校は最終年に生徒が20人ほどで、経営の厳しさは噂されていました。経営母体が一緒のため、赤字はニチガクが補填していたとみられます」 そう明かすのは、内情を知るニチガク関係者。匿名を条件に取材に応じてくれた。 ニチガクでは授業料を一括で年間分を支払っていた。ほかの大学受験予備校と比べてやや高めで、通常コースで私立文系を目指す場合は100万円~、医学部コースともなれば800万円以上を支払っていた生徒もいたという。
業務で使用するパソコンはWindowsVista
それでも経営は芳しくなく、ここ数年は経費削減が進められていた。夏期講習や冬期講習のパンフレットも2024年からはオンライン配布に切り替えられ、業務で使用するパソコンもWindowsVistaを長年使用していたという。 「ケチな運営だ、という印象を持つことは、たびたびありました。ただ、今は経費をかけたくてもかけられなかったと思っています」(前出・ニチガク関係者) 理由は生徒の減少だ。かつては200人以上の生徒が在席していたが現在は130人ほどに。特に顕著だったのは昨年のことだった。4月ごろには120人ほどいた高校3年生が、夏ごろまでには80人台になった。生徒が離れる理由について前出の森川さんは次のように説明する。 「最近の受験の傾向は一般受験よりもAO入試や推薦入試が増えています。そのため、夏から秋にかけて退校する生徒はざらにいるんです。どこの予備校でも大量に生徒が辞めるのはあることなんです」 しかし、前出のニチガク関係者は特色とされていた“オリジナルテキスト”も問題だったのでは、と訴える。 「だいぶまえからも更新されていない教材を使っている授業もあります。傾向や対策など、時代に合わない内容で生徒もわかるレベルの低さでした」(前出のニチガク関係者、以下「」も) テキストを刷新する部署はなく、新しい教材の制作を提案する講師もいたが、運営側は「余計なことはやめてくれ」と拒否したという。 そのため、生徒たちがニチガクを見限るケースもあったのだ。