受験前にいきなり閉鎖!すでに授業料「100万円以上」支払った生徒もいたのに…老舗予備校「ニチガク」にみえていた「破滅の兆候」
10月から未払いの給与
東京商工リサーチによると負債総額は約1億円になるとみられている。代理人はこの時期に閉鎖となった理由を次のように説明する。 「当然、この時期の事業停止は回避したいと資金繰りに奔走してまいりましたが、昨年末に行き詰ってしまったからです」 生徒は高校3年生や既卒者が大半で、約130人が在席していた。受験直前の1月、とりわけ重要なこの時期に告げられた突然の破産宣告。生徒に深刻な心理的負担を与えている。 「12月末まで普通に冬期講習が行われていたそうです。現在も運営会社からの具体的な説明はなく、校舎入口の掲示内容と同じ文章が予備校アプリ内で送られてきただけのようです」(全国紙社会部記者) 運営側は、私物を引き取るよう文章で生徒たちに連絡。1月6日午前中には、荷物を取りに訪れる生徒たちの姿が見られた。 ニチガクは高校1年~既卒生向けにコースを設け、志望校別の対策を実施。少人数制授業や個別指導、難関大学生のチューターによる弱点補強が人気だった。 実は破産の兆候は昨年10月ごろから表面化していた。代理人によると、このころから運営会社は債務整理の相談を始めていたという。おまけに同時期から講師への給与未払いが発生していたのだ。 森川さんによれば、10月以降の給与は支払われておらず、未払い額は20万円以上にのぼる。 「以前から給与支払いが月末から数日遅れることはありました。指摘すると『社長が担当しているので社長に聞いてください』と言われていました。ただ、必ず満額が支払われていましたが、10月以降は完全に止まりました。1月もほかの仕事と調整して、出勤の予定を組んでいましたが、授業はすべてなくなりました」(前出の森川さん) 森川さんはニチガクで6年間勤務している。給与の遅延が目立つようになってきたのは「2024年の夏ごろから」だと振り返る。 「ほかの先生と『ここの会社も危ないんじゃないのか』と話したこともありました。というのも、ニチガクだけではなく、予備校や塾など、この業界全体が非常に厳しい状況なので、経営の悪化はある程度予測していました。ただ、破産寸前だとは予想外でした」(前出の森川さん、以下「」も)