レ軍の攻略法から浮かぶイチローの問題点
マーリンズのイチロー外野手(41)が11日(現地時間10日)のレッズ戦で6回、先頭打者として代打出場し、レフト前ヒットを放った。すでに9日のレッドソックス戦の第2打席で中前打を放ち、自己ワーストとなる連続無安打打席を「34」で止め、大不振のトンネルは抜け出していた。 マーリンズのジェニングス監督は、「フィジカルな問題は全くない。体はどこも悪くない。ただどんな選手でも長いシーズン中には感覚にズレを生じることはある。彼は日米4000本以上ヒットを放っている打者。この業界で彼以上にスイングを理解している人間はいないし、バットを操ることにかけて、彼以上に研ぎ澄まされた感覚を持つ人間はいない。今は何かがクリックしていない状態だと思う。一端パチッとハマれば(click)、事態は一転するだろう」と語っていたが、この2本のヒットで、そのクリックが成されたのだろうか。2試合でイチローを「7の1」と攻略したレ軍側は、今、イチローに起きている“異変”をどうみていたのか。 7日の第1戦で対戦した先発左腕のマイリー投手は、「対戦したことはなかったが、変化球を見事にさばく映像は何度もみているので、勝負所での緩い球は避けようと思った」 最初の打席はカウント2-2から外角直球で見逃し三振、2巡目となった六回二死三塁の場面は4球全て直球攻め。最後は再び外角低めを狙って、2打席連続見逃しの三振を奪った。 「その前の球が逆球で外角に行ったけど、振る気配がなかったから、もう1度同じ所を攻めたんだ。彼はスライダーを待っていたんじゃないかなと思ったね。僕にとってはラッキーだった」 外角低め一杯に決まった勝負球について、イチローは試合後、「(バットを振りに)行きたいけど、それでも無理なコース。あそこまでやられたらお手上げ。それは無理です」と珍しく審判の判定に不満を漏らした。確かに際どかったが、天才が“お手上げ”という程のコースだったのか。過去にはワンバウンドの球を安打にし、腕を目一杯伸ばしてバットの先でヒットゾーンに放つことを得意としていた安打製造機である。しかも、第1打席の第1ストライクで、「きょう(の判定)は怪しいのがわかっていた」と明かしている。序盤の打席でその日の球審の傾向を把握して、的確に対応してきた天才だけに、感覚に微妙な誤差が生じているのかもしれない。