30代の週刊誌記者が見た…職場での「他人の悪口」への共感、じつは「もっとも危険な行為」と言えるワケ
渋谷109のカリスマ店員から週刊誌記者に転身。約10年間、3000人以上を取材してきた「聞き方」の極意をまとめた山田千穂さんの『ずるい聞き方』(朝日新聞出版)よりコミュニケーションがワンランクアップする聞き方を一部抜粋・編集してお伝えします。 【漫画】ウソだろ、足の指が50本に増えてる…火葬場職員が仰天した、前代未聞の遺骨
悪いことは先に伝える
どんなにウマい話を持ちかけられても、最後の最後で「実は……」とデメリットを聞かされると一気に不信感が強まります。 瞬間的に相手を動かしたいとき、こちらから伝えたい情報量が多いときには「相手が話したいことから聞く・伝える」が有効です。しかし、情報量がそれほど多くないときは、まずはマイナスに感じることから伝えてしまうほうが信頼を得やすいです。 高校生の頃、私は母に「頭髪検査は引っかかったけど、数学のテストで98点だったよ」という伝え方をしていました。すると母は「すごいじゃない!」と褒めてくれます。 ところが、「数学のテストで98点だったけど、頭髪検査で引っかかった」と言うと「ちゃんと黒染めしないといけないね」と言われます。 この反応の違いを目の当たりにしたときに、伝える順番、何かを見せる順番などに意識を払うようになりました。 実は、私たちがこれをよく体感しているのが、不動産屋で物件を見てまわるとき。 実際に不動産屋さんに聞いた話ですが、たとえば3軒を内覧する場合、お客さまの要望に最も近い物件を最後に見せるそうです。そうすると「他の2軒よりも全然良いですね。ここにします」と入居を決めてくれる確率がグンと上がるそうです。 逆に、先に一番良い物件に連れて行っても「すごく良いんですが、他の2軒も見てみたい」と言い、結局「一度考えます」と決断が延びてしまうそうです。直撃取材でも、「絶対に書きませんから!」と言うと「そんなこと言って、どうせ書くんでしょ」と思われてしまいます。 でも「記者って信用してもらえないと思うんですけど」と前置きしたあと、「私はずっと○○さんのファンで、こういう映画やドラマや舞台に感銘を受けてきたので、ぜひお話を聞きたいんです!」と熱量たっぷりにアプローチすると、話をしてくれる確率がぐっと高まります。 信頼を得たいなら相手がマイナスに感じることは先出しする。間違っても後出ししてはいけないのです。