宮川花子 右足が動かなくなりほぼ寝たきりに。落ち込むなかで大助が渾身の下ネタを…「彼のおもしろいところに救われてきた」
夫婦漫才コンビの宮川大助・花子さんは、2024年11月にコンビ結成から45年を迎えます。妻・花子さんは2019年、血液のがん「多発性骨髄腫」と診断され、現在も闘病中。夫・大助さんは、ご自身も腰の痛みを抱えながら、花子さんを懸命に支え続けています。そんな大助さんに対し、花子さんは「どれだけ深刻なときでも、あの人といると笑ってしまう」と語っていて――。今回は、お二人の闘病・介護の日々が綴られた著書『なにわ介護男子』から一部引用、再編集してお届けします。 【写真】車椅子に乗った宮川花子さんと、笑顔の大助さん * * * * * * * ◆退院目前の異変 2023年11月、放射線治療で入院していたとき、じつは想像もしなかった新たな症状に苦しんでいました。 退院を目前にして右足がまったく動かなくなったのです。 この後、MRI検査を3回受けることになるんですが、脳にも首にもまったく異常は見つからず。 じつは、いまだに原因はわかっていません。 しかし現に、右足はまったく動かなくなっているため、寝たきり同然。 入院するまでは一人でトイレにもお風呂にも行けていたのに、それすらできなくなってしまったのです。
◆なにわ介護男子、本格デビュー 退院を控えて、一番の難題は夜間のトイレでした。 バルーンカテーテル(医療用の管を尿道から膀胱まで通して入れたままの状態にし、尿を膀胱にためずに畜尿袋と呼ばれる袋の中にためる仕組み)を使おうということになったのですが、問題は、誰が管を尿道に挿入するかです。 先生と看護師さんが病室で「月水金に来てくれる訪問看護師にお願いするのはどうでしょう」「うん、それが一番いいかもしれない」などと真剣に話し合っていたときです。 「僕、やりましょか」 どこからか聞き慣れた声がするなと思ったら、大助くんがあの顔で手を挙げているじゃありませんか。 先生も看護師さんも驚いて、「えっ? ほんまですか!?」と。まさか夫の大助くんが立候補するとは思わなかったんでしょうね。 でも、大助くんが至って本気な表情なのを見て、病院と自宅で看護師さんの指導のもと練習してみることになったんです。 そしたら大助くんの上手なこと! ひと通りやり方を教わったら、管を手にして「ほな、いくで」と言うと、一発で尿道にスッ! 「えっ? もうできたん?」と私がびっくりしたくらいです。 看護師さんも「初めは皆さん怖がるのに、大助さんには迷いがない」と絶賛。 みんながあまりにほめるので、気をよくしたんでしょう。 大助くん、「いやあ、もう長いことお世話になったとこですから」。 渾身(こんしん)の下ネタです。でも、誰も笑いません。皆さん、聞こえなかったふりをしてスルーです。 それがよけいにおかしくて、私は心の中で爆笑していました。 30年前だったら、こんなこと絶対に言えなかったですもん。この年になったからこそ、サラッと言えるんです。さすが大助くん。 いつか必ず漫才のネタにしようと思いました。
【関連記事】
- 抗がん剤の副作用で心肺停止寸前になった宮川花子。神妙な顔の医者が告げた、大助からのまさかの伝言は「オリックスが…」
- 闘病中の宮川花子が伝えたい<がんとつきあう難しさ>。「SNSで見かける投げやりな投稿。痛いほどわかるけど、私が今生きていられるのは…」
- 柴田理恵「富山で一人暮らしをする94歳母の遠距離介護から学んだ人生の終い方。笑って死ねたら最高に幸せ」【2023編集部セレクション】
- 漱石の孫・半藤末利子「結婚後も〈愛しています〉と言い続けてくれた夫・半藤一利。『週刊文春』編集長時代は、ストレスから離婚の危機も」
- 辻元清美「落選し、20年ぶりに無職になって実家で80代の両親と3人暮らしに。〈国民年金だけで暮らすのか〉と不安に感じた時、政治の意義に目覚めて」