【新潟記念】前走を評価して本命はエーデルブルーメ 馬場と枠に恵まれ、川田将雅騎手騎乗も心強い
開催後半、外差し有利馬場に
野芝100%の新潟芝は衝撃吸収性能が弱く、開催が進むにつれ内側が悪化する。このため連続開催12日目となる新潟記念の最後の直線は外目が伸びるため、各馬が内を空けて走る。マイネルファンロンが優勝した2021年のように、外ラチ沿い強襲が正解という年もあるほどだ。 【新潟記念2024 推奨馬】単複回収率100%超えデータ2つに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 過去10年で逃げ切りはゼロ。先行2勝、中団4勝、追い込み4勝となっている。逃げは2着が1回あるが、これは2020年のジナンボーが出遅れたあと、後方最内から進出し、3角手前で先頭に立った特殊な例。序盤から先頭に立って逃げると、最後の直線で外に出せず、苦しくなってしまうことが多い。 先週土曜日時点では高速馬場で内の先行馬でも押し切れていたが、日曜日には最後の直線で内を避けた馬が活躍していた。そのうえ台風の影響を受けたとなると、外差し馬が有利になるだろう。最後の直線では、外に出せば出すほど伸びる可能性がある。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 レッドラディエンス】 前走の七夕賞で待望の重賞初制覇を達成。その前走は4番枠からまずまずのスタートだったが、外の各馬が競り合いながら内に切りこんできたので控える形。道中は縦長の隊列の中、先頭から離れた中団を追走した。3~4角では中団中目から徐々に進出すると、直線序盤で3列目まで上がり、ラスト1Fでそのまま突き抜けて2馬身差で完勝した。 このレースは前後半5F57秒3-60秒6のかなりのハイペースで、後半で最速だったのがラスト4F目。前半から前が飛ばし、4角で甘くなった展開を、本馬は3~4角から仕掛けており、展開はドンピシャにハマったとみている。 例外こそあるが元々は後半型の馬で、勝ちに行くと甘くなる面がある。下級条件ではペースが遅く、自らポジションを取って勝ちに行く必要があったが、上級条件で逃げ馬が飛ばす展開となれば、後半に特化させることができるので合いそうだ。 今回はアリスヴェリテが逃げる展開を想定。さらに、枠も大外12番枠と恵まれた。2022、23年の新潟記念で2着だった友道康夫厩舎の先輩、ユーキャンスマイルのような競馬ができれば、ここでも通用していい。 【能力値2位 アリスヴェリテ】 デビュー2戦目の野路菊Sで2歳牡馬世代上位だったファントムシーフの2着に入り、3着馬には6馬身差をつけた。次走アルテミスSでは逃げてリバティアイランドとクビ差の3着に好走した実力馬。しかし、前で粘り込むレースができないと能力を出すことができず、その後は折り合う競馬で不振が続いた。 転機は4走前の1勝クラス。減量騎手の柴田裕一郎騎手に乗り替わり、逃げにこだわる競馬で久々に勝利した。前走のマーメイドSは13番枠からまずまずのスタートだったが、押してハナを主張し先頭に立った。向正面では後続を引き離して単騎の形で3角へ入ると、再びペースアップして6馬身ほどのリードで直線へ。ラストはさすがに甘くなったが、それでも2馬身差で完勝した。 前走は大逃げの形ではあったが、超高速馬場で前後半5F58秒3-58秒9の平均ペース。ハンデは50kgと恵まれており、正攻法で逃げ切ったというよりは「まんまと逃げ切った」という表現がピッタリくる。 今回も自身の競馬はできそうだが、自己最高指数を記録した後の一戦となり、余力面が心配。外が有利な馬場となると苦戦する可能性は高いが、全体が悪化しきった馬場の場合、後続を消耗させる展開に持ち込めばチャンスがある。 【能力値3位 キングズパレス】 前々走は今回と同舞台の新潟大賞典で2着。13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方からの追走。道中はペースが上がらず、ゆったりとした流れ。そこで中団の外まで進出、3~4角で外から押し上げていった。直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。 このレースは、次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが最内を立ち回って3着に敗れたように、外の方が伸びる馬場状態だった。よって、外々を回った3~4角のロスは致命的というわけでもなかった。道中で動いて勝ちに行ったことは好内容だった。 前走の七夕賞ではレッドラディエンスをマークして進み、3~4角で同馬の外から仕掛けて行ったが、最後まで2馬身差を詰めることができなかった。この差は決定的なように映るが、終始モタれた(斜行する)ことが要因にある。過去に中山コースでもモタれる癖を見せており、馬群に入れてそれを修正しているシーンがあった。 そのため、この馬はスムーズに走れる左回りがベスト。ただし、前走の七夕賞は上でも触れたように、前半から前が飛ばす流れのため展開に恵まれていた。レッドラディエンスと甲乙はつけがたいが、両馬とも好走しても不思議はないことは確かだ。 【能力値4位 エーデルブルーメ】 全4勝を芝2000mで挙げた馬。デビューからほとんど芝2000mを使われ続け、徐々に地力をつけてきた。前々走のダイワスカーレットCでは15番枠からやや出遅れたが、軽く促して中団の外まで挽回。前2頭が後続を引き離していく展開を向正面から進出して、3~4角では外から好位まで上がって直線へ。序盤で一気に伸びて先頭に立つと、食らいつくシェイクユアハートをラスト1Fで振り切り、1馬身半差で完勝した。 前々走はそれなりにレースが流れて、3~4角でペースダウンする展開。外から仕掛けたことで噛み合った面はある。それでも2着馬には1馬身半差、3着馬には3馬身半差をつけており、OP級の自己最高指数を記録した。条件戦の流れで優秀な指数を記録することは難しく、3勝クラスで記録したことには大きな価値がある。 前走のマーメイドSは、上述した軽ハンデのアリスヴェリテが平均ペースで逃げ切る展開。不利な15番枠から出遅れてしまい、後方の外々からロスを作りながらも勝ちにいく競馬で2着を確保できたことは高評価。今回は外差し馬場想定のなか、11番枠と枠にも恵まれており、直線が長い舞台を得意とする川田将雅騎手というのも心強い。今回の本命候補だ。 【能力値5位 セレシオン】 デビュー当初は出遅れ癖があるばかりではなく、二の脚が遅い面もあってクラシック路線に乗り遅れてしまった。しかし、立て直された3歳夏の新潟芝2200m、阿賀野川特別で一変。 5番枠から五分のスタートを切ったが、他馬と少し接触してしまい、3列目の3番手に下げて折り合いに専念。2番手に上がって3角へ入ると、そこから軽く促されて4角出口で逃げ馬に取り付き、並ぶ間もなくかわして先頭に。一気に抜け出して2馬身半差、ラスト1Fでさらにリードを広げて3馬身半差で圧勝した。 このレースの2着馬はそのあと2連勝でOP入りしたシルブロン。同じく次走で勝ち上がった3着馬ウォルフズハウルには8馬身半差をつけ、ここでOP級の指数を記録した。条件戦でOP通用レベルの指数を記録したという点はエーデルブルーメと同じだ。 長期休養から復帰後の近5走は芝1800m~2200mを使われ安定した成績を残しているが、芝1800mで前半の入りが速いと、置いていかれる面を見せている。菊花賞では11着に大敗したが、休養明けだった前記の阿賀野川特別を好走した後の疲労が残る一戦かつ、大外18番枠から終始外々を回るロスがあってのもの。 芝3000mがベストかはともかく、芝1800mでは距離が短いのだろう。外差し有利馬場で行われる新潟記念は、阪神大賞典で1、2着の実績があるユーキャンスマイルが2年連続で2着に善戦しているように、長距離適性も求められる舞台。近走以上の走りを見せる可能性もありそうだ。