ロシアと周辺の国々の料理と食文化の面白さを語り合う。
マヨネーズが大好きなロシア人。真冬にアイスクリームも。
沼野 ロシア料理って案外あっさりしていると思いませんか? ボルシチだって赤くて、とろっとしてるように見えるので、こってりした料理に思われますが実は何杯でもおかわりできます。 師岡 確かにそうですね。 沼野 ただ、あちらではコース式で料理が順番に出てくるんですが、前菜をとりすぎると後が大変。前菜の後に出てくるスープが「第一の料理」と呼ばれていて、前菜はものの数に入っていないですから(笑)。 師岡 スープは種類も豊富でおいしいですよね。ウハーっていうお魚のスープとか。あと私は前菜でよく出るセリョートカ・パド・シューボイも好きです。日本語に訳すと「毛皮を着たニシン」。 沼野 ニシンの酢漬け、それにじゃがいものマヨネーズ和え、一番上にビーツが層になっているサラダですね。 師岡 ロシア人はポテトサラダ好き、というよりマヨネーズ好きですよね。 沼野 大好きで、たくさん使いますね。マヨネーズを使ったロシア風ポテトサラダといえばオリヴィエサラダ。19世紀にオリヴィエというフランス人シェフがモスクワのレストランで考案したものです。レシピを残さなかったので幻のサラダといわれています。 師岡 ほかにロシア人が好きなものといえばアイスクリーム! 真冬でも食べていますよね。現地の友人に理由を聞いたら「だって空気よりもあったかいから」ですって(笑)。もちろん冗談ですけど。私も寒いと思いながら真冬に頑張って食べました。 沼野 確かに冬でもアイスクリームを食べている人はよく見ます。飲み物についてはどうでしょう? 師岡 私はクワスが大好きで、レストランに行くとまず注文していました。 沼野 クワスが好きとは、相当な通ですね(笑)。ライ麦を発酵させた甘みのある微炭酸飲料。昔は古臭い飲み物として人気がなかったですが、最近はペットボトルで販売したりとイメージアップを図っているみたいです。 師岡 あと、ロシアといえばやっぱり紅茶。以前、モスクワとサンクトペテルブルクを結ぶ列車「赤い矢号」に乗った時、朝晩、素敵なガラスのカップに入った紅茶が出てきました。 沼野 私もソ連時代、列車に乗った際、車掌さんのいるところに大きな金属の湯沸かし器、サモワールがあって、自由に紅茶を飲めたことを覚えています。