子どもに人気の「シルバニアファミリー」が大人も夢中にさせる理由とは
人形への愛着は心理的に好影響
エポック社の鈴木さんから、人形の意外な使い方を聞いた。通勤バッグの中や会社の机の引き出しに赤ちゃん人形を忍ばせておくのだという。「会社の上司に怒られるとき、人形を握りしめて行って一緒に怒られる。怒られた後は人形に触れて自分を励ます。そんな人もいるようです」 スキンシップと脳の関係に詳しい桜美林大教授の山口創さん(身体心理学)に人形がもたらす効果を尋ねてみたところ、子どもが肌身離さず持ち歩き、特別な愛着を寄せる毛布やタオル、ぬいぐるみなどを心理学では「移行対象」と呼ぶ、と教えてくれた。これが大人になっても続く人がいるという。 山口さんによると、普段からこうした「移行対象」を持つ人は、持たない人に比べ、孤独を感じにくいという。人形やぬいぐるみの肌触りからは温かみや心地よさを感じるそうだ。「表情がない人形やぬいぐるみは自分の感情を投影しやすい。話しかけることで安心感も得られるのでは」と山口さんは分析している。 ◇ 取材で子どもの頃に遊んだ記憶がよみがえり、我が家にも猫の赤ちゃん人形をお迎えした。何とも言えない優しい表情に心が和んでいる。(読売新聞生活部 金来ひろみ)