6割以上が悩む<夜間頻尿>の原因を専門医が解説。「糖尿病、高血圧、心不全などが関係していることも…」
厚生労働省が実施した「令和4年 国民生活基礎調査」で、頻尿の自覚症状がある人の割合(有訴者率)は、人口1000人あたり38.8人だったそうです。そのようななか、医学博士の高橋悟先生(「高」は正しくは「はしごだか」)は「頻尿や尿もれといった尿トラブルの多くは、セルフケアで改善できることがわかっている」と話します。そこで今回は、高橋先生の著書『頻尿・尿もれ 自力でできるリセット法』から、一部を抜粋してご紹介します。 【書影】全国の患者が信頼する名医による、自分で治す「本当のコツ」。高橋悟『頻尿・尿もれ自力でできるリセット法』 * * * * * * * ◆悩む人が最多!「夜間頻尿」の正体 数ある尿トラブルのなかで、最も悩んでいる人が多いのが「夜間頻尿」です。40歳以上の女性で62.1%(2580万人)、男性で71.4%(2640万人)、全体では66.7%もの人に夜間頻尿があるとされます(「日本排尿機能学会2023年疫学調査」より)。 「夜寝てから朝起きるまでに、トイレのために1回以上起きる」 これが「夜間頻尿」の定義です。 ただし、起きる予定時刻の少し前に「トイレに行きたいと思って目覚め、トイレに行ったら寝床には戻らない」のは「1回」に数えません。 トイレの後でまた眠ったときを「1回」と数えます。 「1回起きるだけ」なら、それほど困らない人が多いかもしれません。実際、あまり心配しなくてもいいと思います。困るのは、2回、3回、それ以上起きる場合です。 なぜなら、夜間頻尿は睡眠の質を落とすので、昼間の活動に影響が出るからです。日常生活に影響することが、夜間頻尿の最も大きな問題です。 睡眠には「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」の2種類の状態があります。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れるもので、7時間眠るとしたら、ひと晩の眠りのなかでノンレム・レムのサイクルが4~5回くり返されます。 最低3時間は眠らないと、1サイクルは回りません。トイレのために何度も起きる人は1サイクルを確保できないので、睡眠の質が落ち、寝不足状態になるのです。