“新幹線一本足打法” JR東海、収益構造の特殊性
徹底した合理化の結果……
「国鉄民営化以来、廃線がない」。これは、JR東海が誇る事実である。しかし、JR他社からは、「東海道新幹線というドル箱があるからできるだけだ」という恨み節が聞こえる。JR東海は、東海道新幹線で「ビジネスマンをできるだけ早く、正確に、大量に運ぶ」ということに主眼を置いた経営方針、それに合わないサービスは徹底的に排除する、という会社だと言って過言ではない。 静岡県は過去、のぞみが県内に停車することと、富士山静岡空港(牧之原市)と直結する新駅建造を求めてきた。しかし、いずれもJR東海は新幹線の速達性が減じられるという理由で拒否してきた。加えて、リニアは県内では停車しない。 JR東海は、リニアが開業すれば、県内にのぞみを停車させ、こだまやひかりも増やすので、メリットはあると説明する。しかし、県民からすれば、再三にわたって要望を無視してきたJR東海が、国家的プロジェクトとして邁進するリニアの計画を前に、またないがしろにされている、と感じてもおかしくはない。静岡県が県内の工事着工を認めず、27年の開業が延期された遠因は、JR東海が徹底して進めた合理化に、逆につけを払わされるという結果になったと言えるのかもしれない。