よい行いをしている人が、がんなどで亡くなるケースを多く見てきた医師・小林弘幸「善行を積めばいつか報われるなんて簡単に言えない。それでも…」
「誰にも分からないから、ちょっとくらい…」と、間違ったことやズルいことをしてしまった経験はありませんか。「『後ろめたさ』を伴う行動は、積み重なると自律神経バランスが大きく悪化してしまう」と指摘するのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。そこで今回は、小林教授の著書『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい: 人生が大きく変わる自律神経のルール』から、自律神経を整える方法を一部ご紹介します。 【書影】ストレスフルな毎日を乗り切るための、懐かしくて新しい健康の教科書。小林弘幸『心と体が乱れたときは「おてんとうさま」を仰ぎなさい: 人生が大きく変わる自律神経のルール』 * * * * * * * ◆因果応報。自分がやったことは、いつかすべて自分に返ってくる 「陰徳」はもともと中国で生まれた言葉です。そのルーツをひもとくと、紀元前にまでさかのぼります。当時書かれた思想書の『淮南子(えなんじ)』(中国・前漢時代の哲学書)に、「陰徳陽報(いんとくようほう)」という言葉が登場しているのです。 この「陰徳陽報」は、「人知れずよい行いをすれば、必ずよい報いがある」という意味。紀元前の大昔からこういう教えがあったのには驚かされますね。 また、有名な四字熟語に「因果応報」があります。みなさんご存じのように、こちらは「よい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがある」ということ。 最近は「悪いことばかりしていると、その分だけ災難が降りかかる」といったようにネガティブな使われ方をするケースのほうが目立つようですが、本来はよい行いも悪い行いも、自分が受ける結果のすべては自分の行いに原因があるということを意味しています。 さらに言えば、「情けは人の為ならず」ということわざもあります。若い方々の中には、これを「情けをかけることは、結局その人の為にならない(からしないほうがいい)」という意味に受け取っている人も多いようですが、それは明らかな間違い。 正しくは「情けは他人の為だけではない。いずれ巡り巡って自分自身に恩恵が返ってくるのだから、人に親切にしたほうがいい」という意味です。 ここに取り上げた3つの言葉の共通点を挙げれば、どれも「自分がやった行いは、いずれ自分の身に返ってくる」という考え方をベースにしている点だと言えるでしょう。
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