親から住宅購入資金を1000万円もらう予定なのですが、全額非課税にするにはどんな住宅が必要ですか?
親や祖父母から住宅購入資金として贈与を受けた場合に、贈与税が非課税になる制度があります。制度を賢く活用し税金を大幅に軽減できれば、住宅購入の資金負担を減らすことが可能です。 本記事では、親からの住宅購入資金を非課税で受け取るために必要な条件について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」は、親や祖父母などの直系尊属から住宅の新築・取得、または増改築の資金を受贈した際に、贈与税が一定の範囲まで非課税になる制度です。住宅取得者の初期負担を軽減し、質の高い住宅の普及と居住水準の向上を図ることを目的としています。 令和6年度の税制改正により、非課税措置の適用期限が3年間(令和6~8年)延長されました。また、良質な住宅に該当する場合には、非課税限度額が1000万円まで上乗せされるなどの特例が設けられています。 ■1000万円の控除となる省エネ等住宅とは 省エネ等住宅の3つの基準は、以下の通りです。 ・断熱性能等級4以上または 一次エネルギー消費量等級4以上 住宅の断熱性が高く、エネルギーの消費効率が優れている住宅が対象です。この基準により、冷暖房費の削減が期待されます。 ・耐震等級2以上または免震建築物 地震への対策が十分にとられた住宅が対象です。耐震等級2以上の住宅や免震建築物であれば、安全性が高い構造であることが証明され、災害時の被害を抑える効果が期待されます。 ・高齢者等配慮対策等級3以上 高齢者や身体に配慮が必要な人でも、快適に過ごせる工夫が施された住宅が対象です。この基準を満たすことで、家族の幅広いニーズに対応でき、長く住み続けられる住環境が整えられています。 以上のうち、いずれかの基準をクリアしていれば「質の高い住宅」として認められ、非課税措置を受けることが可能です。
相続時精算課税なら2500万円まで非課税
住宅を購入するにあたって親から資金提供を受ける際、相続時精算課税という制度を活用すると多額の非課税枠の利用が可能です。贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があり、贈与税の申告時にどちらかを選択できます。 相続時精算課税を選べば、両親や父母からの贈与に対して累計で2500万円までの非課税枠が適用され、贈与税は発生しません。また、2024年以降の贈与については、相続時精算課税でも暦年課税と同じ「110万円の基礎控除」が適用され、年間110万円まで贈与税が発生しないため、最大で2610万円まで非課税で受け取れます。 さらに、住宅取得資金として贈与を受ける場合は、住宅の種類に応じた非課税特例が500万円分追加され、省エネ等住宅の場合は非課税枠が追加で1000万円となり、合計3610万円までは贈与税がかかりません。 ただし、2500万円の特別控除額で非課税となる分は、最終的には相続財産に加算されるため、相続税の計算対象となる点に注意が必要です。また、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻せなくなるため、選択は慎重に行いましょう。 相続時精算課税は、主に60歳以上の両親や祖父母から18歳以上の子どもや孫への贈与を行う場合に適用されますが、住宅取得資金贈与には例外があります。相続時生産課税を選択して非課税特例を利用する際は、両親や祖父母などの贈与者の年齢が60歳未満でも適用が可能です。 また、相続時精算課税を利用した住宅資金贈与の非課税特例では、「住宅の床面積が40平方メートル以上」「受贈者の収入制限がない」など、暦年課税の非課税特例とは異なる条件もあるため、各制度の要件をしっかり確認して活用しましょう。