パリ五輪・卓球団体、日本勢に足りなかったものとは? ベストを尽くした選手たち。4年後に向けた期待と課題
次の4年後に向けて新たな日本代表に期待
一方で、女子のほうは冷静な見方もできる。 卓球大国・中国との決勝は本当に惜しい大激戦だったが、平野は世界ランク12位で、孫は世界ランク1位。張本美和は世界ランク8位で、王は世界ランク3位。 逆転負けするのはメンタルの差という見方もある一方で、冷静に見れば、実力通りの結果だったともいえる。中国は世界で1位と2位と3位がそろっているのだから、大量リードされてから追いつくことも、ここ一番で決め球の球威やバリエーションが上であることも当然といえる。 日本代表だって全員が私たちスポーツファンの想像を絶するほどの練習を積んできているはずだ。特に女子は、これ以上何をやればいいのかと感じてしまうほど、中国が強かった。それでも……。 男子に必要な、水谷が言う、執念と勝利へのストイックさ。 女子に必要な、あともうワンランクだけ上の、実力の差。 この部分でさらなる向上を積み上げることができれば……。歓喜の瞬間はすぐそこまできているようにも感じられる。 呆然と立ち尽くし、悔しそうな張本智和の表情。テーピングだらけの早田ひなの姿。悲喜交々、印象的なシーンが多かったパリ五輪。死力を振り絞って戦い抜いた選手たちに、心から大きな拍手を送りたい。 大会終了後に早田ひなは、すでに次の4年後に向けて前向きなコメントも残した。これからまた、男子は松島輝空、女子は木原美悠らを加えた激しい日本代表争いが繰り広げられるはずだ。 4年後のロサンゼルス五輪。今よりさらに強くなり、今よりさらにギラギラし、勝負所で強さを見せる、新たな日本代表の姿を、楽しみに待ちたい。 <了>
文=本島修司