パリ五輪・卓球団体、日本勢に足りなかったものとは? ベストを尽くした選手たち。4年後に向けた期待と課題
パリ五輪、卓球・団体戦。銅メダルを懸けた男子の3位決定戦は、日本がフランスに2対3で敗れて4位という結果に終わった。全力を出し切った日本代表の選手たち。準決勝では、強豪ドイツを倒したスウェーデン相手に最後の最後で競り負けて、気持ちを切り変えて挑んだフランスとの3位決定戦はアウェイの雰囲気もありかなり難しい戦いとなった。一方、女子の団体戦は、期待された通りに中国との決勝戦まではたどり着いたが、金メダルまではあと一歩届かなかった。メダル獲得へ、そして、打倒中国へ。今の日本に足りないものは何か。目立っていたのは「リードしてからの強さの差」だ。男子団体と女子団体。その激闘を改めて振り返りたい。 (文=本島修司、写真=ロイター/アフロ)
卓球は「メンタルスポーツ」であり…
卓球は古くから「メンタルスポーツ」だと言われてきた。 またミスター卓球こと、故・荻村伊智朗は、「卓球は100m走をしながらチェスをするようなもの」と言った。この言葉も誰もが納得するところであり、戦術を練り、工夫を加えながら、フットワークを駆使して、腕を振る。 つまり卓球という競技は、技術と体力と戦術眼とメンタルの強靭さを極限まで求められるスポーツと言える。 男子団体・準決勝のスウェーデン戦でも、日本代表の選手たちは体力・知力を振り絞った。しかし、その中でエースとしての重圧を張本智和一人に背負わせ過ぎた印象もあった。 幸先よく第1試合のダブルスで大きな1勝を挙げた日本。戸上隼輔・篠塚大登組で勝った意味は大きく、この後に張本がシングルスで2回登場できることも思えば、この時点で勝利への期待は大きく膨らんだ。 その勢いのままに、エース対決となった第2試合では、張本智和がすでに男子シングルスで銀メダルリストを獲得しているトルルス・モーレゴードと激突。六角形のラケットを使う“欧州のファンタジスタ”モーレゴードと、真っ向勝負の打ち合いを演じながら、第4試合をデュースで競り落として完勝。 この時点で2対0として完全に日本優勢ムードの中で迎えたが、ここから篠塚と戸上が立て続けにシングルスで敗北。2対2で向かえた5番手は、張本が2-0というリードからまさかの大逆転負けを喫した。 最終的には3対2でスウェーデンが勝利。張本が呆然とするほど、“土壇場で勝負強いスウェーデン”が厚い壁となってメダルの前に立ちはだかった。