声を張り上げ、コートを駆け回った"150cmの守護神" 主将としてリベロとして「大きな背中」を示し、インカレ連覇に貢献
セットカウント2-1。あと1セットを取れば筑波大学の連覇が決まる。 1点、また1点と積み重ね24-23。先にマッチポイントをつかんだが、関東秋季リーグを制した青山学院大学も同様に、逆転勝利をつかむべく猛攻を仕掛けてきた。 【写真】大会2連覇を決めた直後、仲間と涙を流しながら列に加わった 気持ちは熱く。でも、頭は冷静に。リベロで主将の中村悠(4年、三重)は周りの選手たちへ常に声をかけ続けた。 「落ち着いて1点ずつ取って行こう。大丈夫、大丈夫だから」
最後の最後は門田に決めてほしかった
互いに点を取り合い、ジュースとなって28-27。筑波大、3度目のマッチポイント。セッター熊谷仁依奈(2年、古川学園)のサーブから始まるラリーで、青山学院大の攻撃を中村がレシーブ。150cmの守護神はすべての思いを乗せ、ありったけの声で叫んだ。 「行けーーーーーーー!!」 チャンスボールからの攻撃パターンはいくらだって考えられる。ミドルのクイックか、前衛レフトか。ただ、中村の願いは一つだった。 「(門田)湖都(4年、広島桜が丘)に決めてほしかった。試合の中で何度も感情が高ぶる時があったんですけど、あの時、最後に一番の感情を込めて叫びました」 熊谷も中村と同じ思いを抱いていた。序盤から中盤にかけて、レフトからアウトサイドヒッターの阿部明音(2年、古川学園)と瀧澤凜乃(2年、八王子実践)の攻撃を多用していたこともあり、青山学院大のブロックはレフト攻撃に対して警戒を厚くしているのが見えた。加えて終盤に差し掛かる中、門田の調子が上がっているのも感じていた。 「絶対に最後は4年生が決めてくれると信じていた」と熊谷が託したトスを門田が決め、29-27。激闘の末にセットカウント3-1で筑波大が大会連覇を決め、中村は真っ先に門田のもとへ駆け寄り、抱き合った。 「この1年、苦しいこともいっぱいあったので、最後の最後は門田に決めてほしかったし、本当に決めてくれた。優勝が決まって『やりきった』と思えました」