【広島】プロ野球史上初の屈辱も…あの頃の感覚も垣間見えた激動の1年間 プロ野球12球団担当記者が見た2024年
「つなぎ」「守る」野球で投打が奮闘 順調だった前半戦
前半戦は本当に順調だった。 5月。甲子園のアナウンスにカープファンが湧いた。 「4番・サード・小園」。 一見4番バッターには見えない、どちらかというとリードオフマンタイプの小園海斗(24)が、勝負強さを指揮官に買われ、プロ初の大役を任された。 小園海斗: 「普段3番も打たせてもらっているので何も変わらないと思います」 4番初打席では、決勝点となる犠牲フライで点を上げると、その試合から8試合で6度の決勝打を放つなど、小園のバットは止まらなかった。 ここ数年、シーズンの出だしに苦しんだ。 【近年の小園海斗の開幕時の状態】 2021年 開幕2軍 2022年 4月打率1割台 2023年 開幕3週間で2軍落ち その悔しさをバネに、春先のキャンプからストレッチなどに注力し、オープン戦から調子の良さをアピール。苦手としていたシーズン序盤を乗り切り、4番を任されるまでになった。 結果的にチーム唯一の全試合出場を果たし、4番を打ったのはチーム最多の71試合、打点はチーム内トップ。試合数、安打数、打点、盗塁、出塁率においてキャリアハイを達成した。 小園海斗: 「2本のソロHR以外は、打った打点ということなので打点が一番嬉しい」 セ・リーグの各チームで、最も4番を務めた打者では唯一の1桁ホームランだったが、ホームラン以外で勝負強さを見せつけた。 【セ・リーグ主な4番打者 HR以外の打点】 広島・小園 59 阪神・大山 49 DeNA・牧 39 巨人・岡本 38 ヤクルト・村上 32 中日・細川 29 そんな新4番の活躍もあり、首位で迎えた交流戦。 ソフトバンクを除くパ・リーグ5球団に勝ち越し、7年ぶりの交流戦勝ち越しを決めた。 その中でも多くのファンの心に残るのは6月7日のロッテ戦だろう。 23年、悔しさを滲ませた大瀬良大地(33)のエース復活を象徴する試合がそこにはあった。 2年連続で2桁勝利を逃し、23年自己ワーストの11敗を喫すると、オフには右ひじを手術。5年連続で務めた開幕投手を同期の九里に明け渡した。 そんな大瀬良がプロ11年目で達成した、プロ野球史上90人目のノーヒットノーラン。 大瀬良大地: 「ちょっとまだ信じられない、自分のことじゃないような気持ちです」 24年は勝ち星こそ恵まれなかったが、球団歴代2位となる37と1/3イニング無失点記録をたたき出し、キャリアハイの防御率をマークするなど、復活を遂げた。 【2024年成績】 大瀬良大地 25試合 6勝6敗 防御率1.86 その大記録がチームの勢いを加速させ、首位争いを繰り広げた。
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