センバツで誤審を認め謝罪した審判団の異例“英断”は高校野球の改革を象徴する出来事なのか…リプレー検証導入を求める声も
甲子園の審判はプロではなく、全国の都道府県から推薦で派遣されてきたボランティアだ。わずかな日当と交通費が出るくらい。その審判へのリスペクトの意志が強すぎることと「審判に逆らう」イコール「高野連に逆らう」という“忖度“が各チームにあり、どのチームも審判や高野連を敵に回したくないため審判は「絶対的な聖域」となり「抗議は行わない」という暗黙のルールができあがってきた。だが、その甲子園の「絶対的な聖域」だった審判の判定を自らが冷静な判断で覆し、しかも、謝罪までした意義は大きい。本来あるべきフェアプレーの精神が貫かれたと同時に“開かれた高校野球へ”の改革の一歩と評価できるだろう。 後原氏は、さらにこんな提案をした。 「甲子園の審判は各都道府県からの推薦によって選ばれた人で名誉ある仕事ではあるが、技術のレベルがバラバラで高年齢化問題もある。もうデジタルの時代。高校野球もVTR判定を導入すべきではないか」 メジャーリーグの「チャレンジ」システムを追いかける形でプロ野球が「リクエスト」というリプレー検証を本格的に導入したのが、2018年。今では定着しており、当初、心配された審判団の技術低下という問題がクローズアップされることはなく、むしろ、フェアな判定が担保されることで、ゲーム進行に混乱や問題が起きることがなくなり、ファンだけでなく、選手や関係者も納得して競技性も高まった。 リプレー検証の導入には、専門のスタッフと映像設備の整備などが必要で、地方大会も含めた全国レベルで導入することは難しいかもしれない。だが、春夏の甲子園大会から実験的にリプレー検証を導入することは不可能ではないだろう。 現段階では、高野連が具体的な検討にも入っていないのが実情のようだが、フェアプレー精神が、高校野球の根底にあるのなら、今回のケースを機に映像を使った判定についての議論を深める必要があるのではないだろうか。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)