ブランドセーフティ の「メリット」と「デメリット」再考:メリット編
ブランドセーフティのメリット
ブランドセーフティのメリットは主張としてはわかりやすいため、以下に短くまとめる。 ブランドづくりで重要なのは、消費者がそのブランドと関連づけるイメージや印象だ。したがって、人々にネガティブな印象や不安を抱かせるようなコンテンツが掲載されたサイトでの広告配信を避けるというブランドの方針は納得できる。 しかし、ニュースコンテンツに関しては、ネガティブな内容の記事に隣接してブランドの広告が掲載されていたとしても、それを気にする読者がいるという確かな証拠はない。その種の広告がブランドイメージの毀損につながるという懸念は、証明された事実というより、既知の情報にもとづく推測にすぎない。それでも広告主のマーケターには、ネガティブなトピックが配信される確率が高いサイトを避ける権利がある──けっきょくのところ、費用を支払うのは広告主なのだから。 「大手広告主の多くは、重大事件が起きればパブリッシャーによる報道を支援するが、そのとき自社の広告でどんなメッセージを打ち出すべきか迷っている」と、ピア39(Peer39)のCEO、マリオ・ディエス氏は指摘する。「事件報道時のサイト上の広告におけるメッセージ発信はとても重要だが、その点が誤って認識されたまま、ブランドセーフティをめぐる議論が交わされている」。
「ニュースは今後、必要不可欠なメディアになる」
ときにはマーケターが、ニュースサイトから引き上げた広告費を、同じくブランド毀損のリスクがある別のプラットフォームに移してしまう場合がある。そんな行動をしないマーケターが少しでもいるなら、パブリッシャーとしては広告主の判断を受け入れやすいかもしれない。 想像してみてほしい。広告主は自社のブランドが、誤解を招く測定指標、政治への関与、プライバシー違反など、さまざまな批判を浴びているプラットフォームと結びつけられるリスクにさらされているのだ。さらに困ったことに、その種のプラットフォームはかならずしもルールに従わないし、第三者による検証も受けたがらない。 ブランドセーフティに関する議論は複雑で、矛盾する側面もある。 「広告主企業のCEOたちは、自社がニュースサイト上の広告を回避したり出稿を減らしたりして、ニュースというマーケティングチャネルを活用し支援するチャンスを逃していると知ったら、衝撃を受けるだろう」と、アドフォンテス・メディア(Ad Fontes Media Inc.)の最高戦略責任者、ルー・パスカリス氏はいう。米コロラドに本社を置く同社は、ニュース報道を信頼性とバイアスの観点から評価するスタートアップ企業。パスカリス氏は、「広告主にとって最近、多様性、公平性、包摂性やサステナビリティが優先事項になっているのと同じように、ニュースは今後、必要不可欠なメディアになると思う」と結んだ。 明日公開予定のデメリット編へ続く [原文:The case for and against brand safety] Seb Joseph and Krystal Scanlon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)
編集部