日本唯一のホバークラフト、15年ぶりに復活! 「大分空港~大分市を結ぶルート」は一体どう変わったのか?
船が変わる!「宇宙」イメージの英国製新造船に
乗客が感じる最も大きな変化のひとつはホーバークラフトの 「船体」 だろう。これまで、大分ホーバーフェリーをはじめ、国内で運航されていたほとんどのホーバークラフトは、日本製の三井造船が製造した船だった。しかし、大分ホーバーフェリーの廃業後、三井造船はホーバークラフト事業から撤退し、現在は日本国内でホーバークラフトを製造している事業者は存在しない。今回、大分第一ホーバードライブは、英国のグリフォン・ホーバーワーク社が製造した「12000TD型」という船を採用した。 新たに就航するのは3隻の船で、いずれも新造船だ。それぞれ ・Baien(梅園) ・Banri(萬里) ・Tanso(淡窓) と名付けられ、名前は江戸時代に活躍した豊後国(大分県)出身の学者にちなんでいる。大分県によれば、これらの船の購入費用は合計 「約41億6000万円」 となっている。各船の旅客定員は80人(予定)で、以前の大分ホーバーフェリーの定員は50人から105人だった。推進用のプロペラは後方に2基あり、その羽根の数は3枚から5枚に増加したことで、より静かで安定した航行が可能になったという。なお、大分ホーバーフェリーの最高速力は約90km/hだったが、新造船は約83km/hに設定されている。 船体のデザインには「宇宙」をテーマにしたモチーフが取り入れられ、宇宙服や星などがデザインに反映されている。このデザインは、大分空港がアジア初の 「水平型宇宙港(スペースポート)」 として活用される計画にちなんでいるそうだ。3隻の船はそれぞれ少しずつデザインが異なっており、複数回乗船する人はその違いにも注目するとよいだろう。 また、時代に合わせてバリアフリーの改善が進められ、誰でも快適に乗りやすい船が実現されている。
ホーバーでの「別府湾クルーズ運航」、一度体験してみては
15年ぶりにホーバークラフトが復活する。 以前の航路が復活する形ではあるものの、発着場所や使用される機材など、大きく変わった点も多い。そのため、以前とはまったく異なる「新しい交通機関」といえるだろう。 先にも述べたように、11月末からは本格運行に先立って、ホーバークラフトを使った別府湾クルーズが行われている。 「国内唯一」 の存在となるため、大分空港を利用しない人でも、大分観光に訪れた際にはぜひ乗船してみてはいかがだろうか。
若杉優貴(商業地理学者)