新規チーム受け入れ推進派のFIA会長、実ったキャデラックF1参戦は「モータースポーツ全体にとっての勝利」と称賛
FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、これまで新規チームをF1に呼び込むことを推進し、シリーズとの軋轢から「地獄に突き落とされた」と示唆したものの、念願が叶ったゼネラルモーターズ/キャデラックの新規参戦がモータースポーツ全体にとってのサクセスストーリーになると語った。 新規F1チーム候補のための入札プロセスが開始されたのは2023年2月のこと。複数の団体が申請を行ない、FIAはアンドレッティ・グローバルの参戦計画を承認したが、実際に11チーム目の誕生が正式に認可されるまでには長い道のりがあった。 アンドレッティはゼネラルモーターズの傘下ブランドであるキャデラックと提携を結びF1に参戦する計画を示していたものの、F1の商業権を取り仕切るフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)をはじめシリーズ側は難色を示し、当初は参戦計画を却下した。 そのためアンドレッティ側は、ファクトリーを新設し人材を集めつつ、F1による参戦拒否が独占禁止法違反の可能性があるとしてアメリカ司法省に調査を依頼するなど、論争が耐えなかった。 しかしベン・スレイエム会長や、F1オーナーであるリバティメディアのグレッグ・マフェイ前CEO、そしてF1のステファノ・ドメニカリCEOは水面下で新規チーム受け入れに関する取り組みを継続した。 そして、アンドレッティ・グローバルを率いたマイケル・アンドレッティが組織の指揮系統から離れ、GMが表立ってF1チームを主導する形となったことでF1プロジェクトが承認され、キャデラックとして2026年のF1グリッドに加わることが暫定的に決まった。これが2024年11月のことだった。 新チーム参戦の可能性をオープンにしたことで、これまで批判の矢面に立ってきたベン・スレイエム会長は、キャデラックのF1参戦計画が受け入れられたことを喜んでいる。 motorsport.comがキャデラックによるF1参戦の重要性を尋ねると、ベン・スレイエム会長は次のように答えた。 「とても重要なことだ。私は地獄に落とされ、そして戻ってきた。それが結論だ。地獄送りにされていたんだ……」 ベン・スレイエム会長は、ここ最近で自身が関与した物事について振り返り、水面下でFIAが多くの作業を行なったことを明かした。 「もちろん、司法省とミーティングをした」とベン・スレイエム会長は言う。 「そして私は質問を受けた。何も隠すことはない」 「私は選挙で選ばれた会長だ。彼らは理由があって私を選んでいるのであり、ガバナンス、民主主義、透明性に基づいて選ばれた。我々はFIAの仕事をやった。チームの仕事ぶりを誇りに思っている」 「そう、多くのプロセス、適正手続き、適正評価手続き、それら全てを経た。そして、これらの相違点を全て乗り越え、全てスムーズな形で彼らを受け入れることを目指すところまで来た」 ベン・スレイエム会長が2022年末に現在の地位に就任して以来、FIAとFOMは全ての問題において意見が一致しているわけではない。しかしキャデラックのF1参戦計画に関しては、両者の間に良い協力関係が築かれていると明かした。 「もちろん、FOMには彼らのプロセスがある」とベン・スレイエム会長は言う。 「彼らのプロセスは尊重している。異なるモノだ」 「彼らは商業的な面を見て、我々はスポーツ的な面を見る。ずっと一緒にやっている」 そしてベン・スレイエム会長はこう続けた。 「私は非常にハッピーだ。F1にとって、FIAにとって、FOMにとって、チームにとって、ファンにとって、モータースポーツ全体にとっての勝利だと感じている」 「私のためでもなんでもない。それは全く違う。そんなふうには思っていない。みんなそう言うが、信じてほしい。私はただ、モータースポーツ全般の成功と、ビジネスの維持のためだとしか考えていない」
Jonathan Noble