EC化率2割からコロナ後に9割へ。ビジネスモデルの大転換を遂げたエトワール海渡の桑原氏にEC化の裏側を聞いた
桑原氏:当時はコロナ禍のため、対面でお伝えすることが難しかったので、オンラインでの説明に身骨を砕いた。「ETONET」をどのように使っていただくか、「ETONET」を通じた仕入れ作業をご負担なく業務のなかに組み込んでいただけるかを1件ずつ提案していった。
説明や提案に際しては、社内で大枠のフォーマットを作りつつ、クライアント企業によって提案内容や伝え方を調整し、改善を重ねた。
アフターコロナの現在も「ETONET」による仕入れはクライアントに定着しているが、一部の事業者からは「ショールームで直接仕入れをしたい」という声もいただいている。これを受けて、一部の商品についてはBtoB-ECチャネルにこだわらず、店舗で購入できる体制も整えている。
――従前のビジネスモデルからデジタル化が一気に進んだ。社外だけではなく、社内でもBtoB-ECのビジネスモデル浸透に苦心したときがあったのではないか。 桑原氏:各部署で社内教育を行った。全社共通の教育動画コンテンツを作成し、動画を見れば日常業務が一通り行えるようにしたため、大きな問題は生じなかった。 ■ EC専業企業とも取引開始。堅実に事業拡大 ――EC事業における自身の実績やチャレンジについて教えてほしい。 桑原氏:売り上げを伸ばし、EC化率を高めながらクライアントにECを使ってもらえるようになってきたことだ。従前は実店舗がある小売店としか取引していなかったが、2022年末からEC専業の事業者とも取引を始めた。口コミなどを見たクライアントが新しく申し込むことが多い。ネットを通じて認知を少しずつ拡大していることが、会社としても新たな取引先の開拓、ひいては事業拡大につながっている。 認知拡大の一環として、2024年4月からはランディングページ(LP)を作成した。クローズドなECでは、せっかくEC専業の事業者との取引をスタートしていても新規会員が増えないと考えたからだ。LPは取扱商品の紹介や、取引することでどのような課題・悩み解決につながるかを表現した内容となっている。2024年6月からはリスティング広告なども活用し、認知拡大を図っている。 2023年上期と2024年上期を比べると、「ETONET」の新規登録数は約30%増となっており、LPの施策が効果として表れたと捉えている。 ■ 目標は新規会員獲得50%増 ――BtoB-ECの今後の事業戦略や成長計画は。 桑原氏:LP、リスティング広告の運用を継続して、2024年下期は前年同期間比50%増の新規会員獲得を計画している。SEOとブログコンテンツで集客を並行して進めているので、そこからの流入も進めて新規獲得の最大化を図りたい。 ◇ ◇ ◇ この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた桑原氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。