「空間エンターテインメントを変える」 アプリ開発者がApple Vision Proに寄せる期待
空間の中に大量の敵を同時に、かつスムーズに表示できる限界もありました。そこで、敵の忍者を大きめに描き、上下左右さまざまな方向から集まってくるような演出により「密度感」を高めています。Apple Vision Proの立体空間の中に表示するユーザーインターフェースは極力2D表示を避けて、プレーヤーが触れて操作できる3D表示のボタン等に統一しています。「立体オブジェクトを目で見ながら、ユーザーが直感的に動かす方法が分かるインターフェースにすること」にも注力したと小林氏が語っています。一例を挙げるならば、ゲームのBGMや効果音を調整できるオーディオミキシング・コンソールのフェーダーがこれにあたります。 ゲームの開発環境はアップルが提供するSwiftではなく、Unity(ユニティ)を選択しました。その理由について小林氏は「Unityの方が3D開発に必要な機能が充実している」ことを挙げています。 Apple Vision Proの特徴的なハンドジェスチャーも、アップルが開発者向けに公開する開発ツールでは「親指と人さし指でタップ/ピンチ」する操作だけが開放されています。小林氏は「アップルの開発プラットフォームには、座標系を取り扱うための基本的な機能が少ないことから、3Dの開発難易度が高かった」といいます。そこで、例えば「手裏剣を投げる」ようなハンドジェスチャーについても、UnityのXR Handパッケージを使って実現しました。
■CEO森本氏に聞く「Shuriken Survivorや空間ゲームの未来」 Graffityの代表取締役CEOである森本俊亨氏に、今後のShuriken SurvivorやApple Vision Proに対応するコンテンツの開発について、同社の計画を聞きました。 新作ゲームのShuriken Survivorは、日本でのローンチ後の反響を見ながら、7月以降に順次世界各地での展開を予定しているそうです。 AR体験が楽しめるゴーグル型デバイスである「Meta Quest 3」への対応も検討しているのでしょうか。森本氏は「Meta Quest 3は、ユーザーのハンドジェスチャーをカメラだけで認識するため、Shuriken Survivorをプレイするために必要な精度が確保できない」という理由から、現在のところ対応を考えていないと述べています。