意味のない言葉が有機的につながっていく作品群 コラージュ作家MARCOMONKこと大石祐介インタビュー
WWD:“Untitled(無題)“にはしなかったんですね。
大石:「なんなんだろう?」っていう感覚が楽しいから、何かに引っ張られたりする感覚だったり没入感でいうと、今回は意味のない言葉がしっくりきたんですよね。しかも、それがずらっと並んでるとさらに不思議に感じるでしょ。
WWD:ちなみに、特定のインスピレーション源はないということですが、大石さんの場合、写真家でもあるので自分の昔の写真になるのかなと思いました。
大石:作品の1番の売りというか、大事にしていることは実際に自分の写真をハサミで切って並べて撮影すること。以降はデジタルの作業になりますが、基本はアナログなんです。全てデジタルで作業する人もいるでしょうし、やり方はひとそれぞれですが、自分がフォトグラファーなのでこのゴールの仕方が美しいっていうか、いい形だなと思います。自分の写真を別の作品に落とし込むことは、コラージュの作家性も大切ですけど、フォトグラファーの写真作品としても機能するのではないかなと。仕事になると他者の素材を使う場合もあるけど、作品はすべて自分の写真を自分で切る。自分の写真だから大胆にもなれますよね。
WWD:例えば、作品のために「この素材がほしい」というような感覚で撮ることはあるんですか?
大石:それも一応あります。あるっていうか、こんな素材があったらおもしろい作品が作れそうっていうモチベーションで撮ることはありますね。
WWD:コラージュするときのストックみたいな感覚ですか?
大石:コラージュをやり始めてからそういう撮り方もするようになりました。自転車で走っているときに、「あのビルを切り取りたいな」とか。それが作品に使えるかどうかは全然わからないですけどね。だから、撮ってみようという場合はあります。
WWD:編集者っぽい考え方でもありますよね。
大石:自分が影響を受けたというか、拾ってくれた先輩が元「ワープ(WARP)」の編集長の伊藤(啓祐)さんなんです。「フランク(FRANK)」の日本版の編集長でもあって、本を作っているのを側で見ていたので、当時は意識的に編集の仕事をしたことはなかったけど楽しそうだなとは思っていました。