ウクライナ、ATACMSで初の攻撃か-ロシアは核使用基準緩和
(ブルームバーグ): ウクライナ軍はロシア領の国境地帯を、西側が供給した兵器で初めて攻撃した。一方、ロシアのプーチン大統領は核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した。
インタファクス通信によると、ウクライナは米国が供給した長射程の戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」でロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃したと、ロシア国防省が発表した。バイデン米大統領がウクライナにロシア領内への長距離ミサイル攻撃を限定的ながら許可すると決定して以来、知られている中では初めての攻撃となる。
これより前にウクライナ軍参謀本部は、同国国境から約115キロの地点にあるロシア・ブリャンスク州のカラチェフにある兵器保管施設を攻撃したと確認した。ただ、参謀本部と国防省は攻撃に使用した兵器について機密情報だとして明らかにしていない。ロシア国防省はミサイル5発を迎撃し、死傷者の報告はないと説明した。
核ドクトリン改定
一方、プーチン氏はドローンを含む通常兵器による大規模攻撃を受けた場合の対応として、核による報復を可能にする大統領令に署名した。非核保有国が核保有国の支援を得てロシアやその同盟国に攻撃を仕掛ける場合、ロシアは共同攻撃だと見なすと、オンラインに掲載された大統領令は説明している。
プーチン氏は9月、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を踏まえ、核ドクトリンを改定する考えを示していた。
この動きを受け、地政学的な緊張が高まる際に買われることの多い国債や円、スイス・フランが上昇。米国債の利回りは各年限で少なくとも6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。円はドルに対し0.8%値上がりし、スイス・フランはユーロに対して8月以来の高値を付けた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、西側のミサイルを使ったウクライナの攻撃は核保有国の支援を受けた非核保有国の攻撃だと見なされるだろうと指摘。