シード争いで明暗 上井邦浩が滑り込み、時松隆光は喪失…片岡大育も獲得ならず
<カシオワールドオープン 最終日◇24日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72> 苦々しい表情を浮かべる石川遼【写真】 国内男子ツアー「カシオワールドオープン」が終了し、来季のフル出場権を獲得する賞金シード選手65人が決定した。本来は賞金ランキング65位までに付与されるシード権だが、義務試合数不足の選手を除き、ランキング69位までの選手がその権利を手にした。 笑顔があれば、涙もある。様々な感情が交錯した高知決戦。2日目終了時点では、谷口徹、小田孔明、池田勇太といった“大物”たちが予選落ちとなり、賞金シードには届かなかった。 小田は今季、生涯獲得賞金25位以内の資格で参戦。谷口は『日本プロ』優勝による5年シードの最終年であり、まさに“ラストマッチ”ともいえる大会だったが、その思いを結果に結びつけることはできなかった。また、谷口と池田は「生涯獲得賞金上位25位」の資格を行使する選択肢があるものの、現時点では決断を下していない。 最終日、ボーダーライン上の争いはさらに激化。主催者推薦で出場したランキング95位の上井邦浩が奮闘した。「そんな(賞金シード)の気にしていないですよ」と本人は無欲だったが、その言葉とは裏腹に、最終日最終組に入る快進撃を見せた。 結果はトータル10アンダーで7位タイ。賞金568万4000円を加算し、ランキング68位(993万2000円)にまで浮上した。2022年に手放したシードを見事に取り戻し、「良かった」と望外の結果に驚きと安どをにじませた。「今年はゴルフがダメになりかけていたので、シードを獲らないと、という気持ちが強かった」。危機感を覚えながらもシード返り咲きを果たした。 また、ランキング71位からスタートした市原弘大は、37位タイで大会を終えて、ボーダーライン上となる69位(974万3748円)に滑り込んだ。これにより、2018年から続けているシードを守り抜いた。そのほか、宇喜多飛翔は72位から67位へ、ジュビック・パグンサン(フィリピン)は85位から66位に順位を上げ、それぞれシードを保持した。 一方、上井、市原らの浮上でボーダーラインから弾き出されたのが、ランキング68位にいた片岡大育だ。2019年にシードを手放し、今年もQT2位の資格で返り咲きを目指して参戦。地元・高知県出身の片岡にとって、この大会は特別な舞台だったが、結果はわずかに届かず。ランキング70位(964万8222円)と、わずか10万円ほどの差でシードを逃した。 さらに、7季連続でシードを獲得してきた時松隆光も、その座を手放すことになった。ランキング73位で大会を迎え、13位タイで決勝に進出するも、3日目以降はスコアを落として50位タイに終わった。ランキングは74位(904万760円)に後退し、シードから陥落した。「QTを受けないといけない」と、来季へ向けて再起を誓った。 熱戦の末にビッグネームが来季の出場権を失い、その一方で新進気鋭の若手やベテランたちが来季の“職場”を確保した。笑った者、泣いた者。それぞれのドラマが詰まった高地決戦だった。(文・齊藤啓介)