指を折られ、身体には刺青を…2時間で2000万稼いだ女性など 『闇金ウシジマくん』作者が月村了衛に語った驚きのエピソード
『機龍警察』で2010年に小説家デビューし、『土漠の花』『欺す衆生』『香港警察東京分室』『半暮刻』など数々の話題作を発表してきた月村了衛さん。 現代日本の抱える闇を描いた作品で高い評価を得る月村さんが、新作長編『虚の伽藍』(新潮社)の舞台に選んだのは、地上げ戦争が繰り広げられたバブル期の京都。 暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎どもの壮絶な利権争いを活写し、欲望に翻弄される人間たちを浮き彫りにした本作に驚愕したのが、『闇金ウシジマくん』や『九条の大罪』を手掛ける真鍋昌平さんだ。 闇社会をテーマにするハードルとは何か? 物語に落とし込む難しさとは? 「絶望」に満ちた現実を見つめ続ける二人の社会派作家が対談で明かした、創作の過程や取材時の驚きのエピソードを紹介する。 *** 月村了衛(以下:月村) 私、真鍋さんの作品はすべて拝読しているんです。『九条の大罪』も「ビッグコミックスピリッツ」の連載を毎週楽しみにしています。 真鍋昌平(以下:真鍋) え、そうだったんですか! ありがとうございます。 月村 新刊『虚の伽藍』は1980年代以降の京都が舞台です。『九条の大罪』にも、主人公の九条、イソ弁の烏丸、半グレの壬生など、京都の地名から名前を取った人物が登場しますよね。 真鍋 連載開始前に漫画関係のイベントで京都へ行く機会があったんですが、電車に乗っているときに読めないような地名をたくさん目にして、それがめっちゃ面白かったんです。 月村 たしかに、京都には字面や音感がいい地名がたくさんあります。 真鍋 高橋留美子さんの『めぞん一刻』には三鷹や四谷、六本木など東京の地名から名前を取ったキャラクターが登場するじゃないですか。自分もいつかキャラを地名で名付けてみたいと思っていたので、これはもう京都の地名を使わない手はないなと。 月村 私も京都の地名を人物名に使おうと考えることがよくあります。でも「壬生」という人物だけは、少なくとも向こう十年、登場させるわけにはいかないなと。『九条の大罪』の壬生が本当に格好良く描かれていて、どうしても見劣りしてしまいそうですから。 真鍋 そんな(笑)。恐れ多いです。