認知症の蛭子能収「変わった目で見ないで笑ってほしい」気づいてあげたい認知症の初期症状
認知症の蛭子能収「変わった目で見ないで笑ってほしい」気づいてあげたい認知症の初期症状
日本における認知症高齢者の数は2025年には約700万人となることが見込まれています。65歳以上の約5人に1人が認知症を発症するという計算です。そのため、急速な高齢化を進める我が国において認知症を深く知ることが重要だと言えます。しかし、認知症について深く理解している人は少ないようです。そこで今回は、認知症についてご自身の経験も踏まえて、蛭子能収さんと永尾征弥先生に対談していただきます。
「周りの理解があったから」蛭子能収が認知症を公表した背景と8つの初期症状
永尾先生: 認知症に気づいたきっかけを教えてください。 蛭子さん: 気づいたきっかけは生活上の支障をきたしたことです。 森永さん: 初期段階ではトイレの場所が分からなくなったり、実際には存在しないものが見えたりするようになりましたよね。 永尾先生: 症状が進行した実感はありましたか? 蛭子さん: 確実に感じましたね。 永尾先生: 仕事で困ることはありましたか? 森永さん: 仕事では脳が仕事モードに切り替わっていたため、困ることは特にありませんでしたね。 永尾先生: 最初に認知症だと気づくことが多い症状は「物忘れ」です。蛭子さんのように仕事をしている方は、仕事上のミスが増えることで発覚するケースも多いのですが、そのような症状はありましたか? 蛭子さん: 特に感じませんでした。 森永さん: 番組内で同じコメントをしても、笑いになることが多かったので気づきにくかったかもしれません。 永尾先生: 仕事上では症状に気づきにくかったのですね。物忘れ以外にも認知症の初期症状があります。ご家族などにもチェックしてもらい、当てはまる項目が複数ある方は医師に相談してみましょう。 1. 本人の自覚なく、物忘れをしていることが多い 2. 単純な物忘れだけではなく、外出などのイベントをまるごと忘れてしまう 3. 仕事でのミスが目立つ、今までできたことに時間がかかる 4. 電話やスマホ、リモコン、様々な家電の操作が難しくなる 5. お料理などに時間がかかる、手順を間違える 6. 車の運転で道を間違える、交通違反をする、事故を起こす 7. 元気がなくなり無関心になる、逆に怒りっぽくなる 8. 手の震えや歩行障害を認める 9. 実際には存在しないものが見える、聞こえる 森永さん: 認知症になりやすい人の特徴はあるのでしょうか? 永尾先生: 高血圧や糖尿病など生活習慣病のある方は、認知症になりやすいと考えられています。そのため運動習慣がない方や喫煙者、アルコールをたくさん飲む方は注意が必要です。お酒を飲んだりたばこを吸ったりしていましたか? 蛭子さん: 昔からお酒は飲まないし、たばこも吸っていません。 森永さん: 蛭子さん、昔から健康的でしたよね。 永尾先生: 高カロリーのものを食べると肥満になりやすく、認知機能の低下にもつながると考えられています。食事についてはいかがですか? 蛭子さん: 昔から肉類は好きでよく食べていました。 永尾先生: 食事の影響はあったかもしれませんね。テレビ番組の企画で認知症と診断されたそうですが、どのような診断でしたか? 森永さん: アルツハイマー型とレビー小体型の認知症を合併していると診断されました。 永尾先生: なるほど。認知症にはアルツハイマー型認知症(65%)や血管性認知症(20%)、レビー小体型認知症(5%)、前頭側頭型認知症(1%)などがあります。全認知症の90%以上を占めているのがこれらの認知症です。番組で認知症と診断された時にどう感じましたか? 蛭子さん: 「ああ、言われたなぁ」くらいの感覚でした。 永尾先生: 深刻には感じなかったのですね。周りの方からの反応や対応で、嫌な思いをしたことはありますか? 蛭子さん: ありません。周りのみんなも理解してくれています。 永尾先生: 皆さんの理解があったのですね。蛭子さんに変化はありましたか? 森永さん: あれだけ好きだったギャンブルに全く興味を示さなくなりましたね。 永尾先生: 他に変化はありましたか? 森永さん: もともと子どもには全く興味がなかったのですが、子ども好きにもなりましたよね。今では公園に行くのを楽しみにしています。 永尾先生: 周りから見ると良い方向に変わったということですね。認知症を公表しようと考えた理由を教えてください。 森永さん: 仕事を続ける上で「蛭子さんの言動がおかしい」など、SNSで不本意な情報が広がる前に行動したほうが良いと判断したからです。 永尾先生: 蛭子さんは公表についてどう思いましたか? 蛭子さん: 周りの方や家族と相談した上で公表したいと思いました。 永尾先生: 周りの理解もあって心強かったでしょうね。 蛭子さん: そう思います。