中国が訪問した関西財界を厚遇、日本取り込む狙いか 対米関係緊迫でリスク顕在化
関西の財界関係者によると、今回の訪中団派遣は今年2月、大阪・関西万博関連で来阪した国貿促の幹部が財界トップらに派遣を求めたことが始まりだった。中国の外交スケジュールの情報から、習近平国家主席に訪中団のメッセージが届く可能性がある側近との対面に狙いを定め、今回の日程に落ち着いた。
松本氏は現地での記者会見で、中国について「日本との経済関係強化や、中国での外国企業の活発な活動に期待し、外国企業の声に耳を傾ける姿勢が感じ取れた」と評価。中国の事業環境や経済の低成長などに課題があるとしながらも、「中国経済のダイナミズムを考えると、協業の道を探り、進めることがわが国にとって重要な戦略となる」と総括した。
■突出する関西の中国依存
中国の経済的威圧や安全保障への懸念から、中国に依存することの危険性が鮮明になっている。日本国内の多くの企業が「チャイナリスク」への警戒から依存度を低下させているが、関西は脱中国が進んでいない。
りそな総合研究所によると、日本から海外に進出する企業は2018年の約2万6千社をピークに緩やかに減少。進出先別では、欧米はほぼ横ばいで東南アジア諸国連合(ASEN)などは増加が顕著だが、中国は減少が目立っている。中国減少の要因として、中国国内の人件費の上昇により「世界の生産基地」としての強みが低下したことが挙げられる。
りそな総研のチャイナリスクの指標は、主に企業の売上高全体に占める中国関連取引額の割合で推計する。21年の指標では、三大都市圏で関西は18・1%で最大。東海は14・9%、首都圏など南関東は10・0%だった。
関西企業の中国撤退が遅れている理由として非製造業の依存が挙げられる。「世界の工場」としての魅力は低下しても、消費地としての価値を認めているからだ。
りそな総研の荒木秀之主席研究員は「他地域の企業が撤退する中、関西企業が取り残される形となっている」と指摘。台湾有事への懸念も示し、「チャイナリスクへの対応に時間の猶予がなくなりつつある。地域全体で課題を共有し、リスク軽減に向けて戦略的に取り組む必要がある」とした。(井上浩平)