SNSが暴いたNFLの暴力事件
NFL(米プロフットボールリーグ)が大きな危機を迎えている。今月に入ってレーベンズの万能RB、レイ・ライス選手の妻への暴力事件の真相、バイキングのRB、エイドリアン・ピーターソン選手の4歳の息子への児童虐待など、現役選手の家庭内暴力(DV)が立て続けに明らかになった。リーグの対応が、米国内で大きな批判対象となり、ロジャー・グデッル・コミッショナーは19日(日本時間20日)に、記者会見を開いて再発防止のために今季中に罰則などの新しいポリシーを設けることを明らかにすると同時に、今回の処分を含めリーグの対応に「私のやり方は間違っていた」と謝罪するに至った。 一連の騒動は、今年2月にライスが当時の婚約者だったジェニーン夫人をニュージャージー州のカジノのエレベーターの中で殴り倒した防犯カメラの映像が、今月8日になってゴシップサイト(TMZ)に公開されたのが発端だ。顔面を殴られて失神した女性が足でエレベーターの外に蹴り出されている衝撃映像は、世論の怒りを買ってツイッターなどで全米に拡散し、オバマ大統領も「真の男がすることではない」と激しく批判。この件で逮捕、起訴されたライスは、7月に2試合の出場停止処分を受けていたが、映像の残酷さに「処分が甘すぎる」と世間は猛反発。「映像をみていなかったから」と歯切れの悪い弁明を行った同コミッショナーにも、証拠隠蔽の疑いで引責辞任を求める声が高まった。これにともない、レーベンズは同日付けで同選手を解雇、リーグも無期限の出場停止を決めた。 その矢先のピーターソン事件。これも、当初は1試合の出場停止処分で戦列復帰する方向だったが、4歳児の体に残った無数の傷跡の映像がネットに流れて、世間の怒りに火がついた。本拠地のミネソタ州知事が復帰反対の声明を出し、チームは同選手をコミッショナーの承認待ちリストに加えることに。事態はそれだけで収まらず、ナイキはピーターソンの個人契約を解除。チームの公式スポンサーだったラジソンホテルも、所属チームとの契約を一時解除することになった。それに伴ってペプシ、バドワイザーなど大手NFLスポンサーが遺憾の声明発表。悪いイメージが次々と露呈する事態に、リーグはスポンサー離れの危機に陥ったのだ。