SNSが暴いたNFLの暴力事件
飲料メーカーのペプシは、NFLと2011年から10年総額23億ドル(2300億円)の超大型スポンサー契約を結んでおり、公式ビールのバドライトを製造販売するアンハイザー・ブッシュ社は、同じく2011年から6年総額12億ドル(1200億円)の契約を結んでいる。この巨大スポンサー企業が相次いで遺憾を表明し、早急な改革を求めたことも、今回、コミッショナーが記者会見を開いてDVに関する新ポリシー設立を発表する動きにつながった。プロスポーツ世界最大の収入と資産価値を誇る巨大産業のNFLだが、米国一般紙「USA TODAY」によると、2000年1月以降の現役選手の逮捕に至った犯罪は全部で732件。経営面の成功とは裏腹にDVを含む暴力事件の多さではスポーツ界随一という闇の部分に、今回はスポットライトが当たった格好だ。 今回の騒動で鍵となる役割を果たしたのが、昨今の世論形成に大きな影響を与えるツイッターなどのソーシャルメディアの存在だった。ライスの暴力映像も大手メディアではなく、ゴシップサイトに公開されたのが発端だったが、瞬く間にツイッターなどで拡散し、テレビで放映されるに至った。また、NFLのスポンサーでもある化粧品会社の「カバーガール」は黒いアイシャドウで目の周りを塗ったモデルを起用して、家庭内暴力を連想させる広告を発表。グッデル・コミッショナーの退陣を求めるアンチDVキャンペーンは、すぐにツイッターなどで世に知れ渡った。 また、18日の「サースデーナイトフットボール」の試合で、中継テレビ局のCBSが過去にDVを受けていた歌手リアーナの曲を使用しようとした所、リアーナ本人がツイッターでCBSに激しい反感を示したことも、男性NFLファンだけでなく、世間一般に関心を呼ぶ話題となった。選手もまたソーシャルメディアを通じて事件について個々の意見をコメントする時代。テキサンズRBのアリアン・フォスターが「皆メディアに乗っかっているだけだ」というツイッターのつぶやきは、多くのメディアでも取り上げられた。