「NISAで世界株インデックスファンドを積み立て」 作家・橘玲が明かす最強の投資戦略
『臆病者のための株入門』など、作家の橘玲氏(65)は投資に関する著作を多く出版している。1990年代から投資を始めた氏がたどり着いた結論とは――。 【画像を見る】「投資初心者」が成功するための“鉄則”とは ***
30年ほど前、35歳の時に当時勤めていた中堅出版社を辞めようと思って、そこで初めて真剣に人生設計を考えました。それまで資産運用には興味がなく、株のこともまったく知らなかったので、投資に関する本を読みあさると、どの本にも「自分が尊敬する経営者に投資しなさい」と書いてあった。 95年当時、私が知る最高の経営者はビル・ゲイツでした。そこで、証券会社の窓口で「マイクロソフトの株を買いたい」と言ったら、「そんな外国の株、買えるわけないじゃないですか」と笑われました。当時は個人投資家には海外の個別株が買えなかったのです。 そこで、アメリカにできたばかりのネット証券に口座を開いて、マイクロソフトやインテル、アマゾンなどのIT株を購入しました。その頃は、海外投資の情報はネットのニッチな掲示板で交換され、いまでいう「意識高い系」の間で共有されていたんです。すると、90年代末のITバブルで株価が急騰し、ボーナス2回分くらいの利益が出ました。これが最初の成功体験で、「株ってこんなに簡単に儲かるのか」と思いました。その後、ITバブル崩壊で「簡単に損する」ことも学ぶわけですが。
「二つのバブルに遭遇できた」
次にやって来たのはBRICsなどの新興国バブルでした。そこで趣味と実益を兼ね、いろんな国に旅行に行ったついでに証券口座を開き、現地の株を買うようになりました。アジアでいえば、一部の国を除いて、ほぼすべての国で口座を開設し、新興国株の上昇でどこもかなりの利益が出ました。 2001年に物書きとして独立しましたが、海外の株価をチェックするには夜中に起きていなくてはならないし、相場を見ながら片手間で原稿を書くような才能もない。プロの投資家になりたいわけではなかったので、人的資本を執筆活動に集中させようと考えました。それで、リーマンショック前のタイミングで海外の株をほとんど売却して、現地通貨かドルに替えました。 私が幸運だったのは、ITバブルと新興国バブルという二つの大きなバブルに遭遇できたことです。その結果、現在でも私のポートフォリオの3割から4割が、ドルなどの外貨です。個別株は売ってしまったのでほぼなく、NISAなどで購入したインデックスファンドが1割程度でしょうか。